【映画評】マタ・ハリ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。昔「アグネス・チャンのデビュー当時のニックネームは?」というクイズに対し、ビートたけしが「東洋のマタ・ハリ」とボケ回答をしたのを覚えています(「東洋のマタ・ハリ」は“男装の麗人”川島芳子の呼び名です)。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『マタ・ハリ』です。

 

実在した伝説の女スパイ、マタ・ハリの活躍と悲劇を描く。1932年日本公開作品。監督はジョージ・フィッツモーリスで、出演はグレタ・ガルボ、ラモン・ノヴァロ、ライオネル・バリモア、ルイス・ストーン。

 

マタ・ハリ役を演じるのはグレタ・ガルボです。松任谷由実のペンネームである「呉田軽穂(くれだ・かるほ)」の由来となっている美人女優です。

 

実際のマタ・ハリはオランダ系ですが、ガルボはスウェーデン系です。近頃では『007』新作において、ジェームズ・ボンドが引退した後に「007」のコードネームを引き継いだのが黒人女性であるという設定だけで映画ファンの騒ぎになります。昔は人種や民族の設定にズレがあることに寛容だったのですね。確かに昔のハリウッド映画で忍者役を演じるのが、チャイニーズ系俳優であることは珍しいことではありません。

 

マタ・ハリが美貌を武器にして政府高官に近づき、スパイ活動をしていたという事実から、美しさが彼女を演じる絶対条件になります。そのために選ばれたのがガルボであり、国籍や民族のズレは大した問題ではなかったのでしょう。

 

時には娼婦のようなことまでしてスパイ活動に励んでいたマタ・ハリですが、ロシア人将校ラザノフ(ラモン・ノヴァロ)と恋に落ちたことによって、悲劇的結末を迎えます。スパイ活動という任務と、ラザノフとの恋愛の間で揺れるマタ・ハリの姿は、国家と個人の問題を浮かび上がらせます。

 

実際のところ、マタ・ハリが行っていたスパイ活動は低レベルなものだったそうです。それにもかかわらず、時のフランス政府は自らの軍事上の作戦ミスを彼女に責任転嫁したが故、マタ・ハリは重罪人になったと言われています。本作だけでなく、史実によっても踊り子マタ・ハリは国家に踊らされていたようです。

 

★★☆☆☆(2019年7月13日(土)DVD鑑賞)

 

 

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