【映画評】セーラー服百合族 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。吉本興業みたいに会社の労使関係を親子関係と重ねるのは、親分と子分のヤクザ社会みたいで気持ち悪く、そういう情に頼るやり方が長時間労働や無給のサービス残業などブラック企業の温床になっているのではないでしょうか。労使関係はビジネスライクな雇用契約に基づくべきです。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『セーラー服百合族』です。

 

レズビアン・セックスに耽ける女子高校生の姿を描く(映画.comより引用)。1983年公開のにっかつロマンポルノ作品。監督は那須博之で、山本奈津子、小田かおる、倉吉朝子、江崎和代、水上功治、矢田秀明、益富信孝。

 

那須博之監督の代表作は、本作公開の2年後から始まった『ビー・バップ・ハイスクール』シリーズです。那須監督は東大出身でありながら、理屈っぽいインテリ映画ではなく、肩の凝らない若者向け娯楽映画を中心に活動していました。しかし、実写版『デビルマン』の大爆死により、それまでの実績を台無しにしてから間もなく、53歳の若さで亡くなりました。

 

本作にも、その後の那須監督作品にもコメディ部分があります。那須監督は娯楽志向なので、それは間違っていません。問題なのは、そのコメディ部分が笑えないことです。那須監督は笑いのセンスに乏しいのではないかと思うほどです。

 

そんな作品でも、出演俳優たちの頑張りは伝わってきます。登場人物のメインが高校生なので、ベテラン俳優ではなく、演技経験が少ない若手俳優が多い中、特に山本奈津子と小田かおるは同性愛者カップルという難しい役を演じていました。異性愛者であれば、同性愛者の心理を理解し、表現するのは簡単ではありませんからね。

 

美和子(山本)となおみ(小田)は異性である男性と性交しながらも、同性である互いの間に真の愛を見出していきます。プラトニック・ラブの「プラトニック」の語源は、哲学者プラトンが説く至上の愛の形にあり、プラトンが同性愛(少年愛)者だったことからすれば、本作における美和子となおみの愛は理想的な純愛ということになります。

 

また、劇中で大人同士の異性愛シーンが生々しく描写されているのは、少女である美和子となおみの同性愛シーンを清純化するためです。大人の世界を知らず、セーラー服に身を包んだ少女は穢れていないという幻想ではありますが。

 

本作では、大人の世界と隔絶した少女たちのプラトニックな関係を描いており、それは『ビー・バップ・ハイスクール』シリーズにも応用されています。同シリーズでは、教師以外の大人は極力排除され、不良少年たちは金銭的な損得抜きの、言わばプラトニックな感情で絆を深めたり、メンツをかけた喧嘩をしたりしているからです。

 

★★★☆☆(2019年7月6日(土)DVD鑑賞)

 

 

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