【映画評】ゲット・アウト | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

どうも。メンタルを病んでいるツイートを連発する丸山穂高議員が辞職せず、議員報酬を受け続けられるのは、日本が福祉国家だからでしょうかね(皮肉)。

 

それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『ゲット・アウト』です。

 

アフリカ系アメリカ人の写真家クリスは、白人の彼女ローズの実家へ招待される。過剰なまでの歓迎を受けたクリスは、ローズの実家に黒人の使用人がいることに妙な違和感を覚えていた。その翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティに出席したクリスは、参加者がなぜか白人ばかりで気が滅入っていた。そんな中、黒人の若者を発見したクリスは思わず彼にカメラを向ける。しかし、フラッシュがたかれたのと同時に若者は鼻から血を流し、態度を急変させて「出て行け!」とクリスに襲いかかってくる(映画.comより引用)。2017年日本公開作品。監督はジョーダン・ピールで、出演はダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズ、ブラッドリー・ウィットフォード、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、スティーヴン・ルーツ、キャサリン・キーナー。

 

内容を詳しく説明するとネタバレになってしまうホラー映画です。前半は、ちょっと変な感じをじわじわと出しながら、巧妙に伏線を張っています。それで後半になり、真相が明らかになっていく展開が素晴らしいです。しかし、そのじわじわとした演出が全編に渡り、後半のトンデモな内容の割に爆発力を欠く結果になったのは惜しいところです。

 

本作の素晴らしさを説けば、どうしてもネタバレします。そこで、本作を観た私が考えたことを、内容に抵触しないようにして書いてみます。

 

ご存じのとおり、アメリカには黒人差別の歴史があり、現在も完全に解消したとは言えません。しかし、バラク・オバマが大統領を務め、スポーツ界や音楽界でトップクラスを黒人が占める時代になりました。かつて黒人奴隷が人間扱いされず、家畜の如く扱われていた時代と比べ、雲泥の差があります。

 

それにより、黒人を羨望の眼差しで見る白人がいても不思議ではありません。しかし、その羨望が行き過ぎると、どうなるのでしょう。本作で描かれているのは、そうした過剰な逆差別のグロテスクであるという見方ができます。

 

ところが、別の見方もできます。黒人の外見や身体能力に強い憧れを抱き、それを手に入れたいと熱望する白人がいるとします。この場合、その白人は黒人を「モノ」として見ており、黒人各自の人格を無いものとしています。この個人の先天的性質のみ注目し、個人の人格を否定する思考は、正に差別そのものであり、逆差別ではないのです。

 

以上のように、差別というものは非常に複雑な問題です。それを一考するきっかけとしても、本作は観る価値のある作品です(それほど難しく構えることなしに、娯楽としても楽しめる作品です)。

 

★★★★(2019年6月20日(木)DVD鑑賞)

 

 

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