どうも。一生懸命作った報告書をテメエの都合で無かったことにしてしまうクソ上司がいる職場では、シャブを打ちたくなるほど心がズタズタになるよなと官僚に同情する田舎のおっさんです。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『血は渇いてる』です。
会社のリストラに抗議するため、拳銃自殺を図るも失敗した男が、マスコミによって英雄に祭り上げられる。1960年公開作品。監督は吉田喜重で、出演は佐田啓二、三上真一郎、芳村真理、岩崎加根子、織田政雄、中村美代子。
無名人がマスコミの力でスターになるというストーリーは、増村保造監督の『巨人と玩具』に類似しています。本作が監督第二作となる吉田喜重は、監督デビュー作『ろくでなし』がルネ・クレマン監督の『太陽がいっぱい』とジャン=リュック・ゴダール監督の『勝手にしやがれ』に類似しており、これを単なる偶然で済ますことができません。
おそらく会社側から従前のヒット作をパクるように命令され、脚本を書いたからではないでしょうか(『ろくでなし』も本作も吉田の脚本)。プロデューサーから「吉田ちゃ~ん、○○みたいな映画作ってよ~」と言われ、新人監督だった吉田は抗うことができずに脚本を書いたのでしょう(妄想)。そうした模倣の積み重ねから、自分のオリジナリティーを発見し、研鑽していくのですから、悪いことではありません。
主人公の木口役を演じる佐田啓二の鬱的な表情が、キャラクターの印象を強烈にしています。何の才能も無い平凡な男を演じるため、佐田は自分のスター性を消す演技をしたのでしょう。流石は中井貴一の父親です。
木口のような凡人でもスターになってしまう大衆社会の恐ろしさは、昔も今も不変です。芸能界でも一発屋として消費され、使い捨てされた者が多々いました。現在も無能な世襲ボンボン政治家が、一国のトップにいて長期政権を続けられるのは、政府に飼い馴らされたマスコミの力によるところが大きいのでしょう。
現代をより深く知るためにも、観ておいて損は無い映画です。
★★★☆☆(2019年5月28日(火)DVD鑑賞)
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