どうも。NHK大河ドラマ『いだてん』に山下敦弘や塚本晋也を出演させても、喜ぶのは日本映画マニアだけで視聴率向上に結びつかない気がする田舎のおっさんです。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』です。
100年以上前、突如現れた巨人たちに人類の大半が捕食され、文明は崩壊。生き延びた人々は巨大な壁を三重に築き、その中で暮らしていた。壁に守られた安寧とした生活に苛立ちを覚えるエレンは、まだ見ぬ外の世界を夢見ていたが、ある時、そんなエレンの目の前に人類の想定を超える超大型巨人が出現。壁の一部を破壊し、そこから巨人たちが町になだれ込んでくる。次々と巨人が人間を食らう地獄をからくも生き延びたエレンは、2年後、対巨人兵器の立体機動装置で武装した調査兵団の一員になっていた。調査兵団は壊された壁の修復作戦を決行するが……(映画.comより引用)。2015年公開作品。監督は樋口真嗣で、出演は三浦春馬、長谷川博己、水原希子、本郷奏多、三浦貴大、桜庭ななみ、松尾諭、渡部秀、水崎綾女、武田梨奈、石原さとみ、ピエール瀧、國村隼。
※この感想文は、原作の単行本を10巻程度しか読んでいない、原作に大して思い入れのない男が書いていることを事前にご了承ください。
大人気漫画の実写化で、公開当時、原作ファンに酷評された作品です。しかし、それほど出来が悪い作品ではありません。
人気作品の映像化、特に実写化作品に対して、原作ファンはケチを付けたがります。そのケチの付け方には、ピンからキリまであります。本作の場合、登場人物が欧米風の名前なのに、日本人俳優ばかりで演じるのはおかしいという批判がありました。しかし、それならばシェイクスピア演劇で日本人俳優が演じてはいけないのでしょうか。どうしても日本人俳優が演じたいのならば、『蜘蛛巣城』や『乱』のように時代劇アレンジしなければ許されないのでしょうか。そう考えると、何とも程度の低いケチの付け方です。
本作はストーリーやキャラクター設定に大幅な改変がなされており、原作と離れたパラレルワールドとして楽しむことができます。原作に敬意を払うならば、思い切って改変をした方が潔いです。あの実写版『デビルマン』は中途半端に原作をなぞり、しかも映画として面白くないので、ボロクソに酷評されたのです。
本作の場合、VFXとグロ描写については素晴らしい出来になっています。殊にグロ描写はPG12(12歳未満の方は保護者の同伴が必要)のレベルを超えているとしか思えないほどです。生きた人間が巨人に食べられるという非現実的状況に現実味を付与するためであり、これは漫画という表現方法を取っている原作にない長所になっています。
素晴らしいVFXになったのは、特撮のプロフェッショナルである樋口真嗣監督の力によるところが大きいです。その代わり、人間ドラマ部分の演出が弱くなっています。登場人物のキャラクターが深掘りされておらず、表面的で薄っぺらになっています。いわゆる悪い意味での「漫画的」なキャラクターばかりなのです。それ故、極端なキャラクター設定になっているシキシマ(長谷川博己)やハンジ(石原さとみ)が作品にフィットし、主役のエレン(三浦春馬)以上に強烈な印象を残してしまう結果になっています。
このように欠点があっても、本作は酷評されるほどクソ映画ではありません。それでも原作どおりではない改変を理由に酷評する原作ファンは、何様のつもりなのでしょう。そもそも本作の改変は、原作者である諌山創の承諾を得たものです。原作者が許した改変を認めない原作ファンは、自分が原作者より原作を愛しているとでも主張したいのでしょうか。もはや狂っていますね。歪んだ愛情を抱くストーカーみたいです。
このような小姑じみた原作ファンの存在が、優良なコンテンツを有する漫画大国である日本のビジネス的成功を妨げる一因でしょう。『X-MEN』シリーズで、ヒュー・ジャックマンが演じたウルヴァリンは原作と異なるビジュアルであるにもかかわらず、原作ファンにそれを許容する度量があったので、映画として面白い同シリーズが成功したのですから。
★★★★☆(2019年5月22日(水)DVD鑑賞)
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