第二十四課 さゞえ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

明治二十六年発行の『新撰小學讀本巻五』を紹介します。なお、読み易くするため、地の文は平仮名に統一し、文字化けを防ぐため、漢字は所々新字体に改めます。
 
第二十四課 さゞえ。
 
さゞえは、海に産するものにして、かたき貝殻と、蓋とを持てり。おそろしきことあれば、其殻の中にかくれ、蓋を閉づるものなり。
或日、さゞえは、鯛に向ひ、いと高まんなる、かほ付にて、「私は、丈夫なる殻を持つ故、何物が來るも安心なり、」と云ひて、互に話せる間に、圖らず物音聞えければ、鯛は直ちに逃げ去りたり、さゞえは蓋をしめ、暫くして考ふる様、「鯛は、必ず人に捕はれしならん。己れは、最早心配なかるべし、」とて、徐かに蓋を開き首を出せしに、案外に、身はすでに、魚問屋の店先にありしかば、始めて己れが高まんをくいたりとぞ。
 
【私なりの現代語訳】
 
さざえは、海の生き物で、硬い貝殻と、蓋とを持っています。危険があれば、その殻の中に隠れ、蓋を閉じるものです。
ある日、さざえは、鯛に向かって、とても高慢な、顔つきで、「私は、丈夫な殻を持っているため、何が来ても安心だ」と言って、会話をしている間に、不意に物音が聞こえたので、鯛はすぐに逃げ去り、さざえは蓋を閉め、しばらくして、「鯛は、必ず人に捕らえられただろう。私は、もはや心配ないだろう」と考えて、ゆっくり蓋を開いて首を出すと、意外なことに、自身は既に、魚問屋の店先にあったので、初めて自分の高慢を悔やんだということです。
 
【私の一言】
 
こんな間抜けな失敗をした、さざえに対しては、みんなが笑っています。お日様も笑っています。今日もいい天気です。
 
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