明治二十六年発行の『新撰小學讀本巻五』を紹介します。なお、読み易くするため、地の文は平仮名に統一し、文字化けを防ぐため、漢字は所々新字体に改めます。
第二十三課 針仕事。
お花は、二ヶ月ばかり前より、針仕事を始め、針の使い方より、糸の用い方等を習ひ、最早人形の着物は、獨りにて、仕立て得る様になれり。
お花は、今母に向ひ、「母上よ、此人形の着物は、何色のきれが、最も良かるべき、」と問へり。母は、「お花よ、其愛らしき人形に、赤き着物を着するならば、一層愛らしくなるべし、」と云へり。
お花は、母の教へに従ひ、赤ききれを用ひて、其着物を作り、之を母に示すに、母は其れを見て、「此は能く出来たり。何事にても、斯く勉強すれば、必ず上達するものなり、」と諭したり。

【私なりの現代語訳】
お花は、二ヶ月ほど前から、針仕事を始め、針の使い方から、糸の用い方などを習い、もはや人形の着物は、独りで、仕立てることができるようになりました。
お花は、今母に向かって、「お母さん、この人形の着物は、何色の布が、最も良いでしょうか」と質問しました。母は、「お花、その愛らしい人形に、赤い着物を着せれば、もっと愛らしくなるでしょう」と言いました。
お花は、母の教えに従って、赤い布を用いて、その着物を作り、これを母に見せると、母はそれを見て、「これは良くできました。何事でも、このように勉強すれば、必ず上達するものです」と諭しました。
【私の一言】
勉強することの大切さを説いています。針仕事と聞けば、往年の喜劇俳優、由利徹のパントマイム芸「花街の母」を思い出します。
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