第十六課 孝行なる娘。 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

明治二十六年発行の『新撰小學讀本巻五』を紹介します。なお、読み易くするため、地の文は平仮名に統一し、文字化けを防ぐため、漢字は所々新字体に改めます。
 
第十六課 孝行なる娘。
 
東京の或町に、おふくと云へる娘あり。未だ八さいの幼きものなれども、孝行の心深く、かりそめにも、父母の教へに背くことなし。又毎日學校に通ひて、能く勉強せし故、聞く者皆之を賞せり。
或日、學校より歸るとき、右足にこま下駄をはき、左足には足駄をはき居りしかば、多くの生徒は、之をあざけり笑ひたり。先生は之を見て、おふくに、其わけをたづねたるに、おふくは、「今朝、學校に出でんとする時、父は、足駄をはきて行けよと命ぜり。されど母は、さほど道も悪しからざる故、こま下駄にせよと云へり。よりて、兩親の言ひ付けに、背かぬ様にと考へて、片々づつはきて、來りたるなり、」と云へり。先生は、大にかん心して、之を賞めしかば、前にあざけりし生徒等は、之を聞きて、大にはぢたりとぞ。
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【私なりの現代語訳】
 
東京のある町に、おふくという娘がいました。まだ8歳の幼い者でしたが、孝行の心が深く、少しも、父母の教えに背くことはありませんでした。また毎日学校に通って、よく勉強したので、彼女について尋ねると皆が褒めました。
ある日、学校から帰る時、右足に駒下駄(2本の歯がある下駄)を履き、左足に足駄(雨天用の高下駄)を履いていたところ、多くの生徒は、それを嘲笑しました。先生はそれを見て、おふくに、その理由を質問すると、おふくは、「今朝、学校に出かけようとする時、父は、足駄を履いて行けと命じました。しかし母は、それほど道の状態が悪くないので、駒下駄にしなさいと言いました。よって、両親の言いつけに、背かないように考えて、片方ずつを履いて、来たのです」と言いました。先生は、大いに感心して、それを褒めたところ、前に嘲笑した生徒たちは、それを聞いて、大いに恥じたということです。
 
【私の一言】
 
左右に高さの異なる下駄を履いて、歩きづらいのではないでしょうか。おふくの行いを親孝行として褒めるのは、何か違うような気がします。
 
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