
その映像を見ると貞子から電話がかかってきて2日後に必ず死んでしまうという「呪いの動画」を見てしまった女子大生の有里。そして、入ったら行方不明になるという「呪いの家」に足を踏み入れてしまった女子高生の鈴香。共に呪いをかけられた2人を救うために立ち上がった霊媒師の経蔵は、貞子と伽椰子を戦わせるという秘策に打って出る(映画.comより引用)。2016年公開作品。監督は白石晃士で、出演は山本美月、玉城ティナ、佐津川愛美、菊地麻衣、甲本雅裕、田中美里、安藤政信。
主演は有里役を演じる山本美月です。個人的には、山本は過小評価されていると思っています。実写版『黒執事』では、メリハリの効いたメイド役を上手く演じていました。しかし、本作では他のキャラクターのクセが凄いので、山本の演技が霞んでしまうという悲しい結果になっています。
先ず有里の友人であり、先に貞子に呪われてしまう夏美役を演じた佐津川愛美の方が目立ちます。2日後に呪われて死ぬという精神的極限状態で、人間の弱さや汚さを表現する役で、佐津川の演技力も相まって役得になっています。
次に経蔵と珠緒のツンデレ霊媒師コンビを演じる安藤政信と菊地麻衣は、もう反則技です。相手の感情を一切考慮しないかのような毒舌を吐きながら、実は親身になって呪われた者たちを救おうとするキャラクターは、このコンビが主役のスピンオフ作品を観たいほどです。
その他にも、甲本雅裕が演じる大学教授や、彼が頼りにした霊媒師集団は頭のおかしい人たちで、その言動や行動はギャグの域に達しています。恐怖と笑いが紙一重であることを実感させる点では、『発狂する唇』に近いものがあります。
ヤケクソになって作っても不思議ではない本作の企画に対し、きちんと恐怖の部分も疎かにしなかった白石晃士監督は大したものです。両シリーズから定番の恐怖演出を受け継ぎ、背後に何かがボンヤリと映っているJホラー的演出も盛り込んでいるのですから。
特に貞子と伽椰子が対決するシーンからラストまでに至る展開は、怒涛の力技で押し切ろうとし、日本映画で滅多に見られないハイテンションになっています。おふざけ企画だとナメてかかれば、面食らうはめになる意外な怪作なのです。
★★★★☆(2019年4月17日(水)DVD鑑賞)
今年公開される新作『貞子』はどうなることやら。