
函館に流れ着いた渡り鳥の滝伸次が、地元のボスである秋津に用心棒として雇われながらも、その悪質な手口に怒りを覚え、対決する。1959年公開作品。監督は斎藤武市で、出演は小林旭、浅丘ルリ子、宍戸錠、金子信雄、中原早苗、渡辺美佐子。
小林旭主演の渡り鳥シリーズ第1作です。60年前の作品で、貫禄が付き過ぎた現在と異なり、シュッとして若々しい小林の姿を見ることができます。
主人公の滝伸次役を小林、秋津役を金子信雄、滝と因縁がある殺し屋ジョージ役を宍戸錠が演じています。この3人は、本作公開から15年後、函館ではなく広島(『仁義なき戦い 頂上作戦』)に再集結することになります。本作で秋津の妹である澄子役を演じた中原早苗が、後に深作欣二夫人となったので、不思議な縁を感じます。
縁と言えば、本作に秋津の子分であるサブ役で出演している野呂圭介は、宍戸と共に日本テレビ系『元祖どっきりカメラ』でバラエティー番組に進出します。野呂と宍戸がツーショットで映っているシーンは、その後のことを思えば、ストーリーと違った見方をすることができます。
冒頭は、北海道の荒野を馬車が行き、その荷台に滝が寝そべっているシーンから始まります。あまりにも西部劇のような画なので、「ここは日本ですよ!」とツッコミを入れたくなります。北海道であれば、ギリギリ成立する画ではありますけど。
流れ者が町の実力者に用心棒として雇われるという筋書きも、西部劇にありがちなパターンです。西部劇の要素を取り入れることは、決して悪くありません。しかし、弾丸が飛び交う銃撃戦が始まると、「ここは日本ですよ!」というツッコミを入れたくなります。
本作が西部劇の要素を取り入れ、かつ約77分の上映時間に収めるため、ツッコミを無視してスピーディーに展開したことが、日活無国籍アクションの礎を築いたのでしょう。
★★★☆☆(2019年4月12日(金)DVD鑑賞)