
悪の華が咲き誇る1930年代の大都会。街は情け無用の大立者、ビック・ボーイ・キャプリスに牛耳られていた。正義を守る男ディック・トレイシーは日夜悪と戦っていたが、中でもこのビック・ボーイは彼の宿敵だった……(Yahoo!映画より引用)。1990年日本公開作品。監督と主演はウォーレン・ベイティで、出演はアル・パチーノ、マドンナ、チャーリー・コースモ、ダスティン・ホフマン、グレン・ヘッドリィ、ウィリアム・フォーサイス、ポール・ソルヴィノ。
ウォーレン・ベイティが監督、製作、主演の一人三役を務めています。アル・パチーノやダスティン・ホフマンという大物俳優をキャスティングできたのは、ベイティの顔が利いたからでしょう。本作にはジェームズ・カーンもギャングの一人として出演しています。パチーノとカーンの共演は、『ゴッドファーザー』好きにとって「マイケルとソニーの再会」であり、ベイティのサービスなのかもしれません。
マドンナがクラブの歌姫ブレスレス役で出演しています。かなり重要な役なのに、まだ演技力が追い付いていない印象を受けます。マドンナが魅せる演技をするのは、本作の6年後に公開された『エビータ』です(同作はミュージカル映画なので、マドンナの本業が活きるのは当然ですが)。
本作はアメコミ実写化作品であり、原作を忠実に再現するため、衣装やセットは原色で彩られ、悪役の演者は特殊メイクを施されています。こうしたアナログ感覚は悪くありませんが、チープに見えます。VFX技術の進歩によって、原作コミックの忠実な実写化が『シン・シティ』の境地にまで至った現在となっては、その思いが一層強まります。
また、アメコミ実写化という点に着目すれば、本作は前年に公開された『バットマン』と共通するところがあります。両作品ともアメコミ実写化であるだけでなく、音楽がダニー・エルフマンで、大物俳優がハイテンションで悪役を演じるのも共通しています(『バットマン』ではジャック・ニコルソンがジョーカー役です)。本作のように大掛かりな作品を、『バットマン』を観てから「柳の下のドジョウ」を狙い、約1年で企画製作するのは不可能です。単なる偶然でしょう(しかし、企画段階から漏れてきた『バットマン』の情報を意識して作ってはいたでしょう)。
色々と気になる情報はありますが、作品的には割とありがちなヒーロー物です。特に大きな当たりも外れもありません。
★★★☆☆(2019年3月9日(土)DVDで鑑賞)
ダスティン・ホフマンは、あんな役でいいのでしょうかね。