
どこの小学校にも、ひとつはある怪談話。子供たちの間で秘かなブームを呼んでいるそれらの話をベースに、お化けが出ると噂される旧校舎に迷い込んだ先生と生徒たちの一夜の恐怖の体験を描く(映画.comより引用)。1995年公開作品。監督は平山秀幸で、出演は野村宏伸、杉山亜矢子、佐藤正宏、遠山真澄、熱田一、米沢史織、塚田純一郎、町田耕平、町田昇平、岡本綾、余貴美子、笹野高史。
後にシリーズ化されるファミリー向けホラー映画です。配役上は先生役を演じる野村宏伸がトップですが、実際は生徒役を演じる子役たちがメインです。それ故、子役の演技ばかり観ることになります。これが如何にも子役らしい演技で、そういうのが嫌いな私としては、わざとらしくない子役演出をする是枝裕和の良さを再認識できました。
生徒の一人アキ役を演じる遠山真澄の外見が、声を発するまで女子と気付かないほどボーイッシュです。遠山はミュージカル『アニー』のアニー役出身ですから、素がトランスジェンダーな人ではなく、役作りとしてのボーイッシュでしょう。少年っぽい少女を見ていると、『1999年の夏休み』の深津絵里を思い出し、倒錯的なドキドキ感が生じます。
また、生徒の一人カオリ役を演じる岡本綾は、遠山と対照的に美少女の外見です。岡本は本作以後、透明感ある女優として成長し、NHK朝の連続テレビ小説『オードリー』で主演するまでになります。しかし、妻帯者である俳優との不倫が原因で仕事を干され、若くして芸能界を引退しました。岡本ほどの逸材を見ることができないなんて。くそ、中村獅童め!
それはさておき、本作に血飛沫が飛ぶグロ描写は一切無く、それほど怖くありません。怪奇現象の描写は手作り感にこだわっており、家族で安心して観ることができる、微笑ましいホラー映画になっています(それをホラー映画と呼ぶべきか疑問ですが)。
1995年夏に公開された本作はヒットを記録し、その後に続編が作られました。それにしても、1995年春にオウム真理教による地下鉄サリン事件が起き、オカルト思想の危険性が騒がれ、テレビでは心霊や超常現象を扱う番組を自粛したにもかかわらず、本作がヒットした日本は何なのでしょうね。
★★☆☆☆(2019年1月14日(月)DVD鑑賞)
遠山真澄も岡本綾も今は結婚して幸せに暮らしているそうですよ。