すっかり世間の正月気分が抜け、各業界が動き始めました。新聞やテレビでは、今年の政治や経済の問題がどうなるかを予想する企画を見かけます。
雑誌、特に保守派の月刊誌でお決まりのフレーズは「中国経済崩壊」です。もう長いこと見聞きしてきました。Amazonで検索すると、今も保守派の月刊誌で飯を食っている、黄文雄の『脅かす中国騙される日本―中国ビジネス市場崩壊』という本が見つかります。それが1996年1月に発行されていますから、「中国経済崩壊」という予言は少なくとも23年前から発せられていたことになります。
それで、いつ中国経済は崩壊するのですか?
1999年7の月に人類が滅亡するという解釈で、長いこと多くの日本人に恐怖と不安を与えてきた、五島勉の『ノストラダムスの大予言』が発行されたのは1973年11月です。予言が外れてペテン本に過ぎないと確定するまで26年かかったのです。「中国経済崩壊」も、それに匹敵するインチキ大予言になりつつありますね。
結局「中国経済崩壊」という予想は、格下だと思っていた中国が日本を追い抜くことに怯えた、日本人の内心の願望を発露したものにすぎません。客観的なデータがあっても、それは「中国経済崩壊」という結論ありきで、中国に不利なデータだけ集めたものです。中国に有利なデータも併せて分析しければ、正確な結論には辿り着けません。「中国経済崩壊」という結論に到達していないのが現実です。
そして、そうした情けない日本人の中国に対する不安を利用して金儲けしてきたのが、保守系の雑誌や物書きです。中国に対して不安を抱いた日本人に「中国経済崩壊」という偽の福音を聞かせて、気持ち良くさせることで金を吐き出させてきたのですからね。キャバクラ嬢が醜い非モテ男を煽てて金を使わせるのと同じです。もっと悪質な例えなら、精神的に悩んでいる人をターゲットにタカってくるインチキ宗教団体の霊感商法と同じです。そういうことをやっているのですよ、正論もWiLLもHanadaも!
「中国経済崩壊」という似非予言にすがる日本人が現実逃避している間に、中国は日本を経済的に追い抜きました。世界の超大国アメリカが日本をライバル視して、ジャパン・バッシングをしていたのは30年も前の話です、現在のアメリカがライバル視しているのは中国です。これは中国が、かつての日本と同格以上になったことの証しです。
厳しい現実を直視せず、「中国経済崩壊」を夢想するお花畑にいたままでは、日本は衰退途上国に一直線です。これは「中国経済崩壊」より当たる予言かもしれません。
にほんブログ村に参加しています(よろしければクリックを!)