我が家の蔵で発見された明治時代の教科書のうち、明治二十年発行の『普通讀本四編上』を昨年紹介しました。今年は明治二十六年発行の『新撰小學讀本巻五』を紹介していきます。なお、読み易くするため、地の文は平仮名に統一し、文字化けを防ぐため、漢字は所々新字体に改めます。
第一課 松と杉。
家をたつるに最も要なる材木は、松と杉なり。此等は、多く山野に生ずるものにして、冬の寒さにも、葉の色は、常にかはることなし。すべて此の如きものを、ときは木と云ふ。
此等の木は、幾百年の間も生長して、大木となるものあり。
松と杉とは、材木となすの外、種々のだうぐを作るに用ひ、又松はたきぎとなし、杉の皮は、やねをふく等、其功用まことに多し。

【私なりの現代語訳】
家を建てるのに最も必要な材木は、松と杉です。これらは、多くが山野に生えるもので、冬の寒さにも、葉の色は常に変わることはありません。すべてこのようなものを、常葉木(常緑樹)と言います。
これらの木は、数百年の間も生長して、大木になるものです。
松と杉とは、材木にする以外に、様々な道具を作るのに用い、また松は薪となり、杉の皮は、屋根を葺くなど、その効用は本当に多いのです。
【私の一言】
当時は木造建築が主流で、木製の道具がたくさんあった時代です。現在は鉄筋コンクリート造建築が増え、プラスチック製の道具が多く出回っています。エコロジーとエコノミーの観点から、木造や木製の良さを見直してもいいと思います。
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