自民党「憲法改正案」提示 来年に見送り
今の国会は会期末の10日、衆議院の憲法審査会が開かれた。安倍首相が目指していた自民党の憲法改正案の提示は、来年の通常国会以降に見送られることになった。
「安倍一強」と言われる中、この国会でも改正入管法など重要法案が短時間で成立した。しかし、安倍首相が目指す憲法改正を巡る議論は足踏み状態が続いている。
会期末まで与野党出席の審査会が開けなかったのは、これまで与野党合意のもとで開催されてきた審査会を、与党と憲法改正に前向きな一部の党派だけで行ったことに野党側が猛反発したため。
立憲民主党・山花筆頭幹事「これまで大事にされてきたことが壊れてしまったというのは、非常に残念に思っています。今後も丁寧な運営というのも求めてまいりたいと思っています」
自民党・新藤筆頭幹事「今後はより政局から離れて、国民のために静かな環境で憲法論議を深めていく。これが私たちの役割ですから、しっかりとその務めを果たしていきたいと思っています」
安倍首相は、憲法改正の議論を前に進めるため、党と国会の要職に自らに近い議員を据えて今の国会に臨んだ。しかし、憲法審査会を前のめりの姿勢で進めようとした結果、野党の反発を招き、裏目に出た形。
公明党も憲法改正に慎重な姿勢を示す中、自民党が来年の通常国会でどのような戦略を描くのかが焦点となる。
【ここから私の意見】
自民党の「憲法改正案」が、来年の通常国会に見送りとなったのは当然です。何故なら、まだ自民党内で具体的に練られていないからです。
自民党の「憲法改正案」と聞けば、2012年に決定した「日本国憲法改正草案」だと思う人が多いでしょう。しかし、今回の「憲法改正案」は、それではありません。安倍首相が推進する「改憲4項目」です。それは、(1)9条改正、(2)緊急事態条項、(3)参院選「合区」解消、(4)教育の充実の4項目であり、今年の3月に条文素案が公表されたものの、まだ党内議論が十分でなく、国会に提出して審議できるレベルに至っていないのです。言わば「生煮え」どころか「生肉」の状態であり、豚肉だったら食べてはいけないやつです。
今臨時国会では、「生煮え」の入国管理法改正案が杜撰な調査データに基づき、十分な審議時間を取らない拙速な手続きで成立しました。来年4月に施行しなければならず、法律の詳細については成立後に政令や省令で定めるという理由で、与党側が職権を行使して成立まで強行しました(野党は法定のルール内でやれることは全てやっており、「野党がだらしない」と一つ覚えの批判をする奴はバカです)。
かつて、国や自治体が利用目的や利用者の需要を杜撰に計画し、とりあえず税金を使って公共施設を作ることを「ハコモノ行政」として、マスコミは非難していました。それならば、法案の内容が空っぽでも、とりあえず成立させるのは「ハコモノ立法」であり、同様に非難されても、おかしくないものです。
「ハコモノ立法」が上手くいったことに味をしめた安倍首相は、「憲法改正案」の内容が空っぽでも、とりあえず成立させる「ハコモノ改憲」を目論んでいるのかもしれません。今は憲法改正に慎重な態度を示している公明党も、いつもどおり最後に賛成する猿芝居を見せてくれるはずです。安倍首相は2020年の東京五輪開催までの憲法改正を目標にしていますから、なりふり構っていられません。
「とりあえず……」や「何となく……」で無責任かつ無関心な態度を取ってきた日本国民は、「生の豚肉を腹一杯食わされる」ことになるのでしょうね。
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