何か政治絡みの事件が起きると、マスコミで報道されている事実の裏に報道されない真実があると想像し、それをあれこれと勘繰る者が現れます。いわゆる「マスコミのタブー」があると信じている者です。
しかし、マスコミに報道されないことが真実であるならば、UFO、ネッシー、雪男、超能力、心霊などのオカルト的事案も真実なわけです。東京スポーツを除いて、大手マスコミがこれらの事案を報道することは滅多にありませんから。
オカルト的事案が真実であるならば、月刊ムーは真実の書ということになります。しかし、もし三十代以上の社会人でムーの愛読者がいたら、そいつとは真面目な話はできませんね。どれだけ熱弁を振るわれても、心の中でニヤニヤ嘲笑してしまいます。
マスコミにタブーがあると信じている者は、ムーの愛読者と変わりないです。陰謀論を真顔で話すようになったら、人間お終いです。
確かにマスコミが報道しない事実はあるにしても、それは単にガセネタか報道価値が著しく低いネタかのどちらかです。日々大量の情報が寄せられるマスコミは、それらの裏取りをして、信ぴょう性が高く、報道価値のあるものを報道します。マスコミには金も人もあるので、現地取材で裏取りができます。個人が部屋から出ずに、ネットで情報収集するより、ずっと真実に近付けるでしょう。
そうしてマスコミが裏取りして弾かれたガセネタや報道価値が著しく低いネタが、ネットの世界では消えることなく残っています。それをマスコミにタブーがあると信じている陰謀論者は、「ネットの真実」だと有難がっているのです。所詮ゴミ情報に過ぎないものを有難がっているのですから、その姿は極めて滑稽です。
マスコミにタブーがあるとか、ネットに真実があるとかいう陰謀論的思考は、既存の大手マスコミに対する反感から生じています。その反感の正体は、大手マスコミという情報エリートに対する嫉妬やコンプレックスです。学校時代の優等生に嫉妬やコンプレックスを抱く思考回路が、いい歳こいた大人になっても、まだ残っているのです。ネットの真実とされる陰謀論的ゴミ情報に、「教科書が教えない○○」という宣伝文句が多く見受けられるのは、実に象徴的です。
これと同じ構造は、安倍晋三首相による朝日新聞批判にも見られます。幼少期から勉強せず、家の力で大学まで進学した安倍首相にとっては、情報エリートの代表格である朝日新聞は憎い存在なのです。何しろ朝日新聞は「大学入試出題数ナンバー1」を売りにしている優等生ですから。バカの嫉妬は怖いです。バカだから手段を選ばない上、バカで物分かりが悪いから粘着し続けますからね。
日本のトップが、そんな思考ですから、大手マスコミを「マスゴミ」と呼べば何か頭が良くなったと思い込み、マスコミのタブーやネットの真実を信じる陰謀論者が、世に溢れるのでしょうね。
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