【映画評】スターマン | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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最愛の夫スコットを亡くした悲しみが未だ癒えないジェニー。そんな彼女が暮らす田舎町に宇宙船が飛来。人類の呼びかけに応え、友好のためにやってきた宇宙人はジェニーの家に忍び込み、スコットそっくりの姿に変わる。ジェニーは宇宙人と一緒に旅をするうちに、彼に好意を寄せるようになる。一方、政府も宇宙人の追跡を開始していたが……(映画.comより引用)。1985年日本公開作品。監督はジョン・カーペンターで、出演はジェフ・ブリッジス、カレン・アレン、チャールズ・マーティン・スミス、リチャード・ジャッケル。
 
ジョン・カーペンター監督の宇宙人SF映画では、『遊星からの物体X』が有名です。グロ描写と恐怖演出に優れた同作と異なり、本作は心温まるSFファンタジー映画です。宇宙人がスコット(ジェフ・ブリッジス)そっくりの姿に変身するシーンは、ちょっとグロいですけどね。
 
カーペンターは、自作の音楽監督も務めるほど、こだわりの強い監督です。それにもかかわらず、本作では脚本も音楽も担当せず、監督のみ務めていることから、雇われ仕事だったのだろうかと推測されます。
 
宇宙人役のブリッジスが繊細で上手な演技をしています。変化に乏しい表情、抑揚のない台詞、キョロキョロと相手を観察する動きによって、外見は地球人でも何か異なる存在を表現しています。
 
宇宙人は地球のテレビ番組を観て、地球人についての情報を理解します。偶然テレビ放映されていた古い映画で、地球人の愛情表現が接吻と抱擁であることも知ります。その宇宙人とジェニー(カレン・アレン)の間に愛情が生まれ、結ばれるシーンがあります。宇宙人はテレビで見た接吻と抱擁までは出来ても、その先は知らないので、おそらくジェニー任せのマグロ状態だったのでしょう。そうした事情を下品にならないように匂わせているのは、良い演出です。
 
地球に来た友好的な宇宙人が政府に追われるという設定は、先に公開された『E.T.』と同じであり、二番煎じ感は否めません。『E.T.』が大ヒットしたから、柳の下のドジョウを狙ったのでしょう。
 
ハリウッド映画において、好戦的で地球侵略を狙う宇宙人と地球人の対立関係を描けば、それは異民族とアメリカ白人の関係のメタファーです。宇宙人はアメリカ原住民であったり、旧ソ連だったり、中東のテロリストだったりと、製作当時の時代背景によって変わります。本作で宇宙船が飛来した時、政府がソ連軍の新兵器かと疑ったのは、当時まだ東西冷戦が続いていたからです。
 
それに対し、友好的で高度の文明を持つ宇宙人と地球人の交流関係を描けば、キリスト教における神と人間の関係のメタファーになります。本作で宇宙人がジェニーに残した、新しい生命は「神の子」であり、地球人の未来に希望を託すラストになっています。
 
★★★☆☆(2018年11月24日(土)DVD鑑賞)
 
「スターマン」と言っても、デヴィッド・ボウイは本作に関係ありません。
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