【映画評】壁男 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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TVの情報バラエティ番組でレポーターを務める響子の元に届いた匿名の手紙。それは、壁の中からいつもこちら側を見ているという壁男に関する投書だった。番組での紹介をきっかけに壁男の噂は日本中に広まっていく。響子の恋人のカメラマン仁科は壁男に異常なまでの興味を示すようになり……(映画.comより引用)。2007年公開作品。監督は早川渉で、出演は堺雅人、小野真弓、水戸ひねき。
 
安部公房の小説みたいなタイトルですが、原作は諸星大二郎の漫画です。諸星は画風や作品の世界観が独特な漫画家です。それ故に実写化が困難とされ、本作の他に映画化された作品は『ヒルコ 妖怪ハンター』と『奇談 キダン』しかありません。『ヒルコ 妖怪ハンター』は、『鉄男』の塚本晋也監督が初めてメジャーな場に出たところ、『死霊のはらわた』のようなコミカルさを狙った演出と、原作の世界観が噛み合わず、失敗に終わった作品です。塚本監督でも扱い切れないほど、諸星の漫画は独特な世界観を有するのです(現在の塚本監督は、どうだか分かりませんが)。
 
本作は、ほとんどのシーンが冬の北海道札幌市で撮影されています。街頭のシーンでは、白い雪が積もっており、出演者は当然厚着姿で白い息を吐いています。この寒々しさが、作品に合ったクールさを増幅させています。
 
カメラマン仁科を演じる堺雅人の演技が見所です。“壁男”の存在が気になり始め、狂気の世界へと傾倒していく仁科を、微笑みながらも目の奥は笑っていない顔で演じます。テレビドラマ『半沢直樹』以後の堺しか知らない人は、本作の堺も知った方が良いです。
 
しかし、本作は堺の演技しか見所がない映画です。堺以外の出演者が力量不足なだけでなく、物語の風呂敷を広げ過ぎて何度も「夢オチ」に頼るのは、作り手の怠惰です。何よりも一応ホラー映画なのに怖くないというのが最大の欠点でしょう。
 
☆☆☆☆(2018年11月7日(水)DVD鑑賞)
 
小野真弓にアコムCMオーディションの最終選考で敗れたのは鳥居みゆきです。
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