
吸血鬼の復活を予感した司祭が、ドラキュラ伯爵の眠る城に十字架を取り付けさせた。だがその行為が仇となり、ドラキュラが蘇ってしまう。伯爵は司祭に対する復讐を開始した……(Yahoo!映画より引用)。1969年日本公開作品。監督はフレディ・フランシスで、出演はクリストファー・リー、ヴェロニカ・カールソン、ルパート・デイヴィス、バーバラ・ユーイング、バリー・アンドリュース、マリオン・マシー、イワン・フーパー。
帰って来るのは、ウルトラマンやヨッパライだけではありません。ドラキュラも帰って来ます。本作は英国のハマー・フィルム・プロダクション製作で、クリストファー・リー主演のドラキュラ物では第3作になります。
フランケンシュタインの怪物や狼男など他のモンスターと異なり、ドラキュラは上品な貴族であり、美女の首筋に牙を立てるというエロティックな怪人です。それ故、作品にもエロティックな雰囲気を漂わせる必要があります。ドラキュラ(クリストファー・リー)の毒牙にかかる酒場の女ジーナ(バーバラ・ユーイング)は、ずっと豊かな胸の谷間を見せつける「おっぱい要員」として、その役割を果たしています。
本作のドラキュラは、眼力で催眠術をかける以外に特殊能力はなく、空を飛んだり、狼に化けたりすることはありません。基本的に血を吸うおっさんです。馬車を自分で操縦し、鞭を思い切り振って爆走するアクティブな姿は、怪人というより元気なおっさんに見えます。
本作でドラキュラと対立するのは、ヘルシング教授ではなく、キリスト教の司祭(イワン・フーパー)です。非科学的なドラキュラと科学者ヘルシングの対立から、同じ非科学的領域にいる者同士の対立に変わっています。それは反キリスト教とキリスト教の宗教戦争のようであり、ドラキュラ征伐はキリスト教の布教を物語化したものと解釈できます。
ドラキュラは司祭の姪マリア(ヴェロニカ・カールソン)を拉致します。マリアを奪還しに行くのは、彼女に惚れている青年ポール(バリー・アンドリュース)です。ポールは無神論者ですが、ドラキュラを倒してマリアを救った後、十字を切って祈ります。これはキリスト教への改宗であり、ドラキュラ物語の秘めたる宗教性が露わになるシーンなのです。
★★★☆☆(2018年11月3日(土)DVD鑑賞)
ドラキュラの台詞字幕に「ざます」は付きませんよ。