
高校の映研部の三人の部員が、自分たちの力だけで、ブルーフィルムを製作するまでを描く(映画.comより引用)。1979年公開のにっかつロマンポルノ作品。監督は白鳥信一で、出演は原悦子、日夏たより、飛鳥裕子、絵沢萠子、高橋淳、久米歓児、藤野弘。
原作は大友克洋の漫画『任侠シネマクラブ』です。『AKIRA』で漫画・アニメ界の巨匠となった大友の作品が、ロマンポルノで映画化されていたとは意外です。もし大友作品を名画座で特集上映するならば、本作が含まれていないと不完全ということになります。
原作を未読なので、どこまで忠実に映画化されているのか分かりません。下ネタ混じりの青春物なので、『パンツの穴』と似た感じがします。
無名若手俳優だらけのキャスティングの中、絵沢萠子の存在感が強く印象に残ります。店の二階で男性客を取るホルモン焼き屋の女将役で、四十路のおばさんでありながら、主人公たちが作るブルーフィルムの主演女優を引き受けます。当時の絵沢も40歳であり、リアルな役どころです。
ところで、『パッチギ!』の井筒和幸は友人たちと映画制作グループを設立し、初監督したピンク映画『行く行くマイトガイ 性春の悶々』から映画界に入っていきました。本作の主人公たち三人組と、どこか重なる部分があります。しかも『行く行くマイトガイ 性春の悶々』にも絵沢が出演しているので、不思議な繋がりを感じてしまいます。
現代のようにライト感覚な性風俗店が無かった時代、モテない男子が童貞を捨てるためには、本作のホルモン焼き屋のような如何わしい場所で、しかも年増のおばさんを頼りにするしかなかったという話を読んだことがあります(井筒の初体験の相手も、おばちゃんだったと本人が雑誌のインタビューで語っていた記憶があります)。それを思えば、本作で絵沢が演じた役は生々しいリアリティーに溢れ、それ故に印象に残るのでしょう。
★★☆☆☆(2018年10月3日(水)DVD鑑賞)
絵沢は『マルサの女』でも脱いでいました。