角替和枝さんが原発不明がんで死去、64歳 夫・柄本明「今はそっとしておいて」
女優、角替和枝(本名柄本和枝)さんが27日早朝に亡くなったことが28日、分かった。64歳だった。夫で俳優の柄本明(69)が所属事務所を通じ、ファクスで発表した。
柄本は「かねてより闘病中でした、妻が10月27日午前6時27分『原発不明がん』により旅立っていきました」と報告。「長きに渡り応援して下さいましたファンの皆様、及び関係者の皆様には深く感謝いたします」と感謝の言葉をつづった。
葬儀は近親者のみで執り行われるが、後日「お別れの会」を開く予定だという。お別れの会で「改めてごあいさつさせていただければと思いますので、今はそっとしておいていただければ幸いです」と呼びかけた。
長男、柄本佑(31)と次男、柄本時生(29)、佑の妻、安藤サクラ(32)も俳優として活躍している。安藤は現在放送中のNHK連続テレビ小説「まんぷく」(月~土曜前8・0)でヒロインを演じているが、昨年10月にオファーを受けた際、角替さんに「大厄(数え33歳)のときこそ大役をやるべきだ。あんた、これ、やらないのなら一生仕事やめな」と背中を押されたという。
角替和枝さんは、しっかり者のおばさん役がハマり役でした。劇団東京乾電池所属の俳優(柄本明、ベンガル、江口のりこ等)がお好みの矢口史靖監督は、初期の『ひみつの花園』や『アドレナリン・ドライブ』で、やはりしっかり者のおばさん(お母さん)役を角替さんに演じさせています。
私が角替さんの名前をはっきりと認識したのは、2000年放送のNHK朝の連続テレビ小説『私の青空』です。角替さんは築地の氷屋の女将さん役で、ここでもしっかり者のおばさん役でした。田畑智子演じる主人公なずなが上京してから、母親代わりになっているので、お母さん役でもあります。
角替さんは享年64歳で、もっと歳を重ねれば、口の悪いお婆さん役にハマったでしょう。これは先頃亡くなった樹木希林が得意とした役です(樹木は杉村春子から、それを継承しています)。樹木の死去により、お婆さん枠に大きな穴が開いた日本映画界にとって、将来その枠に入って来るであろう角替さんの死去も大きな損失です。
因みに田畑は、樹木の代表作の一つ『寺内貫太郎一家』の演出家、久世光彦に見出され、彼が演出する向田邦子シリーズにレギュラー出演していました。おそらく久世は田畑を第二の樹木希林として育てようとしたのではないでしょうか。そうなると、田畑は、しっかり者のおばさん役からの口の悪いお婆さん役を継承する逸材ということになります。
田畑がお婆さん役になるまで、まだまだ時間があります。それまでは角替さんが、お婆さん役の生ける見本として活躍してくれたらと思えば、お亡くなりになったことが悔やまれます。
角替さんのご冥福をお祈り致します。
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