
トヨトミ電気の猿飛と徳川ムセンの犬丸は、先祖代々争い続けている一族の末裔。二人は、互いに相手の会社の秘密を嗅ぎだそうと躍起になっていた。ところがそこへ、二人の持つ新式テレビの情報を狙って産業スパイたちが襲いかかる……(Yahoo!映画より引用)。1967年公開作品。監督は坪島孝で、出演は植木等、谷啓、野川由美子、高橋紀子、北あけみ、ハナ肇、犬塚弘、桜井センリ、石橋エータロー、安田伸、人見明、藤木悠、東野英治郎、田崎潤。
クレージーキャッツが出演する「クレージー」シリーズの一作です。そうは言っても、植木等と谷啓のW主演で、他のメンバーは脇役扱いです。
徳川ムセン専務(東野英治郎)の秘書、石川役を演じる野川由美子のコメディエンヌぶりが良いです。プライベートでは裸眼なのに、秘書モードに入る時、急に眼鏡をかける仕草が可愛らしいです。日活時代は『肉体の門』や『河内カルメン』でセクシーな役柄を演じてきたこともあり、ボディラインを強調する衣装を着て、東野演じる専務に尻を撫でまわされてもOKという寛容さも見せます。野川のようなセクシー・コメディエンヌは、近頃の日本映画界にいますかねえ。
監督は「クレージー」シリーズを撮り慣れている坪島孝なので、演出に安定感があります。植木と谷のキャラクターを把握しているというのが伝わってきます。
冒頭で猿飛と犬丸(谷)の先祖からの因縁を描くシークエンスで、大掛かりなセットと大人数のエキストラを用いています。そこに本作を製作している当時の渡辺プロダクションの勢いを感じます。
終盤に新型テレビの設計図をめぐり、産業スパイたちに追いかけられる猿飛と犬丸は、テレビ局に逃げ込みます。そこで生放送のショー番組にコメディアンを装って芸を披露すると、観客にウケてしまうのです。これは、台本どおりの「作り込んだ笑い」が台本破りの「ハプニングの笑い」に負けることを意味し、本作公開から十数年後、『8時だョ!全員集合』が『オレたちひょうきん族』に世代交代された構図と似ています。その『8時だョ!全員集合』のザ・ドリフターズが渡辺プロに所属していたことを思えば、何やら因縁めいたものを深読みしてしまうのです(渡辺プロは、後に自らが凋落する原因を自社製作映画で描いていた?)。
★★★☆☆(2018年9月20日(木)DVD鑑賞)
トヨトミ電気で開発されたロボットのデザインがレトロです。