明治二十年発行の『普通讀本四編上』を紹介します。なお、読み易くするため、地の文は平仮名に統一し、文字化けを防ぐため、漢字は所々新字体に改めます。
第二十四課 砂糖の製造。
甘味は五味の一にして、其原は専ら砂糖とす、實に是れ飲食の佳美を成すものなり。砂糖は、多く甘蔗と名くる植物より製するものにて、甘蔗の野生は、其状玉蜀黍に似たり。元來暖地の産にして、高さ率ね一丈二尺に至り、時ありては二丈に及ぶ。我が國に於ては、四國、九州の地に産すれども、其量多からざるを以て、毎年印度臺灣等より輸入すること莫大なり。凡そ甘蔗を以て砂糖を製するには、その着花の期に先ちて、之を根邊より刈取り、其葉を去りて製造場に運搬す。製造場に於ては、之を大なる鐵の轉機に挟みて壓搾すれば、莖碎けて扁薄となること紙の如し、從て液汁滴々として流下す。乃ち此液汁に石灰少許を加へ、大鍋にて熟煮し、銅篩にて泡沫をすくひ、斷えず攪拌するときは、水分は蒸散して、終に砂糖を得るなり。
【私なりの現代語訳】
甘味は五味(酸味・苦味・甘味・辛味・塩味)の一つで、その原料は専ら砂糖であり、実にこれは料理を美味しくするものです。砂糖は、多くサトウキビと名付けられた植物から製造されるもので、サトウキビは、その形状がトウモロコシに似ています。元来温かい土地の産物で、高さはだいたい3メートルから3.6メートルになり、時によっては6メートルにも及びます。我が国においては、四国、九州の地で産出されますが、その量が多くないので、毎年インド、台湾などから莫大な量を輸入します。おおよそサトウキビで砂糖を製造するには、その花が咲く時期より先に、これを根の近くで刈り取り、その葉を除去して、製造場に運搬します。製造場においては、これを大きな鉄製のローラー機械に挟んで圧搾すれば、茎が砕けて紙のように薄っぺらになり、そして液汁が滴って流れ落ちます。すぐにこの液汁に石灰を少しばかり加え、大きな鍋で煮詰め、銅製のふるいで泡をすくい、休みなくかき混ぜると、水分が蒸発して、最終的に砂糖が手に入ります。
【私の一言】
サトウキビから砂糖を製造する方法を述べています。砂糖を作るには手間がかかります。砂糖だからって甘いもんじゃねえんだよ!(上手いことを言ったつもりのドヤ顔で)。
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