BS-TBSの「バイタルTV」枠で放送された『渕正信の幸せ昭和食堂』(第1回~第4回)を録画していたので、遅ればせながら観ました。
ドラマ版『孤独のグルメ』や『吉田類の酒場放浪記』のヒットによって、「おっさんが飯を食うのを見る」というジャンルが流行っているようです。「バイタルTV」枠でも『蛭子能収が行く!イチかバチかのバクチ飯』という、タイトルどおりに博打に出たグルメ番組を放送しました。そこにプロレスラー渕正信(64歳)が参戦したのです。
若い層に人気がある真壁刀義や棚橋弘至でもなく、ベテランの長州力や藤波辰爾でもない、かつての“全日ジュニアの鬼”渕を起用するというのは、実に渋すぎる人選です。
それでは肝心の番組内容はどうなのでしょう。まだジャイアント馬場が存命時、興行前半のメインである「ファミリー軍団VS悪役商会」において、悪役商会の一員であった渕は、ラッシャー木村のマイクパフォーマンスで独身ネタをイジられても、沈黙を貫き通した無口なキャラクターでした。しかし、『幸せ昭和食堂』ではスタッフからのアシストがなくても、番組を進行する饒舌ぶりを見せます。蛭子さんより上手いじゃないか!(いや、蛭子さんより下手な人を探す方が難しいです)。
まず最初は瓶ビールを注文します。ジョッキではなく瓶ビールです。しかも日の高い昼間から飲むビールです。全国のおっさんにとっての至福の時間をヴァーチャル体験させる演出です。
瓶ビールの後は、次々と食堂自慢のメニューを食べていきます。食レポも店員とのコミュニケーションも蛭子さんより上手いです(いや、蛭子さんより……以下略)。メニューを追っていくと、渕はプロレスラーだけあって、食べる量が一般人より多いことに気が付きます。どの回だったか、番組上オーダーしていないメニューが映り込んでいました。そのメニューは編集上カットされたということです。
プロレスファン、特に昭和の全日ファンにとっては、プロレス関連の話題が挿入されるのが何とも嬉しいです。第1回の浅草「水口食堂」では、店内で輪島大士のサイン色紙を発見した渕が、「3年くらい一緒にやっていました」と懐かしんでいました。第2回の新宿「北京飯店」では、女将さんが出してきたジャンボ鶴田とのツーショット写真を見て、渕が言葉少なに感激していました。第3回の新宿「うな鐵」では、新宿で若い頃遊んだ話になって、渕から「同期の大仁田厚」という発言が出ました。それぞれの場面で、私は思わず「おお!」と声を出してしまいました。
そして、第4回の白金「ハチロー」では、渕がこれまでのプロレス人生を振り返って、「好きな事をやれる人生に感謝する」という言葉を発しました。これは渕の墓石に刻むべき名言です(勝手に殺すな)。思えば、この番組に登場する食堂は、地味ながら良い仕事を続けてきた職人的な老舗であり、それが渕のプロレス人生とも重なっているような印象を受けるのです。実に味わい深い番組です。
今月の放送予定はありませんが、今後、再放送又は続編の放送があれば、当ブログでお知らせしたいと思います。
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