
脳とわずかな記憶を残して全身が機械化された、公安9課最強の捜査官・少佐は、全世界を揺るがすサイバーテロ事件を発端に記憶が呼び覚まされるが、そこには驚くべき過去が隠されていた(映画.comより引用)。2017年日本公開作品。監督はルパート・サンダースで、出演はスカーレット・ヨハンソン、ビートたけし、マイケル・カルメン・ピット、ピルー・アスペック、チン・ハン、ジュリエット・ビノシュ。
日本のSFアニメ『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』をハリウッドで実写映画化した作品です。同作が1995年公開ですから、実写化のための映像技術が追いつくまで20年もかかったことになります。
オリジナルが日本のアニメだからなのか、日本人俳優がキャスティングされています。ビートたけし、桃井かおり、福島リラです。日本が舞台である『ロスト・イン・トランスレーション』のスカーレット・ヨハンソンや、『GODZILLA ゴジラ』のジュリエット・ビノシュをキャスティングしたのも意味ありげです。
たけしはSF映画『JM』に出演したことがあります。『JM』も本作もオタク系作品であり、「世界のキタノ」の威光は海外の映画オタクにしか通用していないのではないかと疑念が湧きます。本作で少佐(ヨハンソン)の上司である荒巻を演じるたけしは、全編日本語台詞しか発しません。おそらく、それがオファーを受ける条件だったのでしょう。そのように強気に出られるのが「世界のキタノ」の威光でもあります。
オリジナルの『攻殻機動隊』の主人公が、日本人の草薙素子であるのに対し、本作の主人公である少佐が白人であるのは、一応意味があります。ネタバレになるので書けませんが。個人的には、『アイアンマン2』以降のマーヴェル作品で演じたブラックウィドー役でも見せた、ヨハンソンのムチムチボディを見ることができたのは満足です。
本作の世界観は『ブレードランナー』に近いです。ハイテクな高層ビル群と、その足元に広がるアジア色の強い無国籍な街並みは、そのままと言えます。オリジナルの『攻殻機動隊』もそうでした。『ブレードランナー』が公開されてから、同作の影響を受けていない近未来SF映画は存在しないのではないでしょうか。
題名にもなっている、シェル(=硬い殻=機械)の中のゴースト(=霊=自意識)というテーマも、やはり『ブレードランナー』におけるレプリカント(人造人間)の問題と共通しています。同一の又は類似のテーマは数多くのSF映画で見てきました。それ故、どうにも本作に手垢が付いている感は否めないのです。
★★★☆☆(2018年6月16日(土)DVD鑑賞)
オリジナルの『攻殻機動隊』と比較しましょう。