明治二十年発行の『普通讀本四編上』を紹介します。なお、読み易くするため、地の文は平仮名に統一し、文字化けを防ぐため、漢字は所々新字体に改めます。
第二十一課 稲の作り方。
稲の作り方は、各地其習慣により、固より異同ありと雖も、姑く其概略を擧ぐれば、先づ春種を苗代に播き、長じて七八寸に至れば、抜きて他の田に分ち栽う、之を田植又挿秧と云ふ。初めて植ゑたる時の状は、通常の草の如し、漸く長ずるに從ひて、數條の莖を挺んず。莖は中空にして節あり、節より葉を生じ、葉は莖を巻きて細長なり。斯くて初秋の候に至れば、莖の頂より穂を出し、穂に數多の小なる花を着け、此花落ちて後、方さに實を結ぶ。此實最初は柔軟にして緑色なれども、晩秋に至れば、漸く充實して黄色に變ず。

【私なりの現代語訳】
稲の作り方は、各地のその習慣により、元々異同はあると言っても、ひとまずその概略を挙げれば、まず春に種を苗代に播き、成長して21~24センチメートルになれば、抜いて他の田んぼに分けて植え、これを田植え又は挿秧(そうおう)と言います。初め植えた時の状態は、通常の草のようで、しばらく成長するに従って、数本の茎を伸ばします。茎は中が空っぽで節があり、節から葉を生やし、葉は茎を巻いて細長です。こうして初秋の頃になれば、茎の先っぽから穂を出し、穂にたくさんの小さい花を咲かせ、この花が落ちた後、正に実を結びます。この実は最初は柔軟で緑色ですけれども、晩秋になれば、次第に充実して黄色に変わります。
【私の一言】
米ができるまでを解説しています。学校では愛国心なんかより、こういうことを教えるのが大事ではありませんかね。
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