【映画評】ファンタスティック・フォー | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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天才的な才能をもつ発明オタクのリード・リチャーズ、シャイな女性科学者スー・ストームと、何かと暴走しがちな弟ジョニー・ストーム、そしてタフで孤独なベン・グリムの4人は、ある実験の事故の影響でそれぞれ特殊な能力を獲得する。リードはゴムのように伸縮自在で強靭な肉体となり、スーは体を透明化し、ジョニーは炎に変化して空を飛ぶことができるように、そしてベンは、圧倒的な怪力と頑丈な岩石の体になった。その能力に戸惑い、思い悩む4人だったが、そんな彼らの前に異次元の脅威が迫る(映画.comより引用)。2015年日本公開作品。監督はジョシュ・トランクで、出演はマイルズ・テラー、マイケル・B・ジョーダン、ケイト・マーラ、ジェイミー・ベル、トビー・ケベル、レグ・E・キャシー、ティム・ブレイク・ネルソン。
 
2005年に『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』が、2007年に『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』が映画化された、マーヴェル・コミック実写化作品です。キャストもスタッフも新たに作られた、いわゆるリブート作品というものです。因みに旧作でジョニー役(本作ではマイケル・B・ジョーダン)を演じたクリス・エヴァンスは、同じマーヴェル作品のキャプテン・アメリカ役に“出世”しています。
 
アメコミ実写化作品には、話の深みを持たせるため、ヒーローの暗黒面を強調する傾向があるにしても、本作は全体的に暗い印象を受けます。旧二作が陽気な作風だったので、その暗さが目立ちます。
 
その暗さの原因は、本作が「もしデヴィッド・クローネンバーグがアメコミ作品を撮ったら、どんな映画になるか?」という試みだからです。ジョシュ・トランク監督が同趣旨の発言をしていたので、間違いなさそうです。確かに、主人公たちが物質転送装置の事故で特殊能力を得るのは『ザ・フライ』が、悪役のMr.ドゥーム(トビー・ケベル)が超能力で邪魔する人間の頭を爆発させるのは『スキャナーズ』が元ネタですからね。
 
しかし、クローネンバーグのようなクセの強い作風でアメコミ映画を作るのは、確実に原作ファンの怒りを買うでしょう。賢明なプロデューサーであれば、デヴィッド・クローネンバーグ、デヴィッド・リンチ、デヴィッド・フィンチャーの“3人のデヴィッド”にアメコミ作品をイジらせてはいけません(炎上商法狙いなら話は別ですが)。
 
本作は暗さだけでなく、ヒーロー4人が勢揃いするまで時間がかかるという短所もあります。冒頭からリード(マイルズ・テラー)とベン(ジェイミー・ベル)の子供時代で始まり、何やかんやあって全体の4分の3くらいが過ぎた頃に、やっと4人が一致団結します。それで彼らが「ファンタスティック・フォー」というチーム名を名乗るのは、ラストシーンです。ファンタスティック・フォーのチームプレイを見たかった観客には不評な筋書きです。
 
おそらく作り手側には、本作を序章にしてシリーズ化していこうという思惑があったのでしょう。しかし、本作が興行的にコケたので、続編製作は今のところ噂にも上っていません。その上、マーヴェル・スタジオを抱えるディズニー社が、本作の配給元である20世紀フォックス社を買収したことによって、ファンタスティック・フォーが『アベンジャーズ』を軸とするマーヴェル・シネマティック・ユニヴァースに合流する可能性があり、そうなると『スパイダーマン:ホームカミング』のように、キャストもスタッフも一新して再スタートを切ることになります。
 
結局、本作は作品自体が悪くないのに、悲しいポジションにある映画になっているのです。
 
★★★☆☆(2018年6月1日(金)DVD鑑賞)
 
スー役はジェシカ・アルバの方がエロいです。
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