【転載】真の地域活性化はご当地ブームの後にやってくる | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

人口的にも経済的にも衰退の一途を辿る地方(特に秋田県)で生きる人たちに一考を促す記事ですので、転載しました。何かの参考になればと期待します。

停滞するご当地ブーム

最近、ご当地ブーム現象が停滞気味だ。たとえばB1グランプリ。ご当地のB級グルメを競うこの大会は2014年をピークに来場者が減少、くまモンに代表されるゆるキャラブームも一巡し、以前ほどは取り上げられなくなっている。「そろそろ新味がなくなって、あきられたかな?」と思えないこともないのも確かだ(去年のゆるキャラグランプリの優勝キャラを知っている人はどれくらいいるのだろうか?)。しかし、こうした活動はショッピングモールやファーストフード店などで均質化しつつある地方に独自性を与える「地域おこし」「地域アイデンティティの再生・創造」を目指していたはず。ただのブームで終わってしまうのはさすがに困る。
 

ご当地ブーム、実は中央依存の現象だった

じゃあ、なぜ停滞現象が起きているのだろう?これをメディア論的に考えてみよう。
前述したように新味がなくなったというのが、表面的にはいちばんわかりやすい説明かもしれない。大手メディアは、オーディエンス(視聴者、購買者層)がそっぽを向け始めれば、さっさと次のネタに食指を伸ばしはじめる。
 
ただし、これはかならずしも決定的な説明にはならない。マスメディアが取り上げた後、定着したものもいくつもあるのだから。だから停滞、ヘタすると衰退の根本的な原因は他のところに求める必要がある。
 
停滞原因、僕は既存の地域おこしのやり方にあると考えている。これまで、ご当地ブームの図式はだいたいこんなパターンだった。
 
まず、地方のユニークな存在が中央メディアに取り上げられることで全国的に認知される。次に、それを地域の人間たちが認知することで「おらがふるさと」を自覚する。
 
典型的な例を2つあげよう。
 
ひとつはご存じ、熊本のゆるキャラ・くまモンだ。くまモンは第一回ゆるきゃラグランプを獲得した後、全国的なくまモンブームを巻き起こした。そのブームを「くまもん」(熊本県民の別称)が喜んだ。その結果、くまもん(熊本県民)はくまモン(ゆるキャラ)にくまもん(自分自身)を見るようになった、つまり自己を対象化した形で認識するようになった。
もう1つは2007年に起きた「みやざきブーム」だ。知事に就任したそのまんま東こと東国原英夫がトップセールスを展開して宮崎地鶏、焼酎、宮崎牛を徹底的に売りまくった。その結果、宮崎県民は普段食べたり飲んだりしていたものが全国的にもてはやされることになり、そのもてはやされている事実に県民がアイデンティファイして、やはりみずからを対象化した形で認識するようになった。いいかえれば「みやざき人をみやざき人が中央(マスメディア)経由で自覚した」。
 
しかし、これだけでは実はマズいのである。というのもこの図式は地域おこしが中央に依存することではじめて成立することになっているからだ。ということは、中央メディアが取り上げなくなればブームも消滅することになる。事実、瞬間的に盛り上がったのはよいが、その後収束した例はあまた存在する。では、これから地方はどうすべきか。
 
このヒント、実は前述したくまモンや東国原現象に求めることが出来るだろう。熊本県民と宮崎県民は中央が自分たちを全国的に知らしめた後、熱が冷めないうちに自ら独自の展開をはじめたのだ。例えば宮崎の場合、前述した地鶏や焼酎はブランドとして全国制覇に成功している。10年前、コンビニにおいてある芋焼酎といえば鹿児島のさつま白波だったが、いまやそのほとんどが都城の黒霧島だ。いいかえれば、地方単位で認知度をメインテナンスすることに成功したのだ。
 

地産地消の地域おこしが重要

しかし、もっと重要な戦略は、逆説的だがむしろ「全国区であることを捨てること」にあるだろう。たとえば、熊本の例としてこんな提案をしてみよう?「くまもんの、くまもんによる、くまもんのための、くまモン」。前述したように「くまもん」とは熊本県民のこと。「くまモン」はご存じゆるキャラ。熊本県民はくまモンがいったん中央に認定されたならば、今度は熊本県民を象徴する存在として地域内でこれを愛し続けることで地域を盛り上げていく。つまり、「地産地消」のキャラクターとして位置づけメインテナンスし続けていく。これと同じことをB級グルメや他の地域の名産、行事などにもあてはめる。地方を中央が取り上げるのではなく、地方が地方を取り上げる。そうすることで一過性のブームは回避され、これらは自律的で永続的な地域活性化の一助となるはず(これ自体は中央ではなく地域メディアの仕事になるだろう)。そして、その際には地元の人々こそがその担い手になることを求められる。宮崎と熊本の現象はこうした循環が発生した結果と捉えられるだろう。
 
真の地域おこし、実はご当地ブームの次にやってくると僕は考える。

 
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