【映画評】花と蛇(小沼勝監督版) | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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SM作家・団鬼六の同名小説を映画化したもので、性倒錯の妖しい世界のアブノーマルSEXを描く(映画.comより引用)。1974年公開のにっかつロマンポルノ作品。監督は小沼勝で、出演は谷ナオミ、坂本長利、石津康彦、藤ひろ子、あべ聖。
 
約30年後に石井隆監督&杉本彩主演によるリメイク版が作られるほど、SM映画としては名作になります。SMというダークで淫靡なジャンルでありながら、本作はコメディ的要素が強く、リメイク版は同じ土俵に上がっても勝てないと踏んだのか、異なる作風になっています。
 
大人のおもちゃ屋を経営する母(藤ひろ子)を持つ誠(石津康彦)が、勤務先の変態エロ社長(坂本長利)からの命令で、若き社長夫人である静子(谷ナオミ)を“飼育”するという内容です。彼らに社長宅のメイド(あべ聖)を加えたのが主要登場人物ですが、全員まともではありません
 
SMの責め方も変です。むき出しにした尻の上に生きた芋虫を載せるとか、裸身にとろろ芋を塗り付けて痒がらせるとか、テレビのバラエティー番組における罰ゲームのような責め方を見せます。これは出川哲朗やダチョウ俱楽部がやる仕事のはずです。
 
演出も悪ふざけが効いています。誠に監禁され、緊縛された静子が浣腸をされたことで脱糞するシーンでは、ブリブリやビチビチという脱糞音ではなく、銃撃音や爆撃音を効果音に被せています。下痢とゲリラをかけたのでしょうか。
 
のように笑いと紙一重の異常な世界を、出演者が真面目に演じているから面白いのです。リメイク版は、そこまで笑いに振り切っていないので、インパクトを欠きます。
 
責められまくる谷は当時20代半ばでありながら、社長夫人の落ち着いた感じを出しています。谷が演じる静子が“飼育”を経て、内なる魔性を開花させ、誠と社長を虜にするモンスターに変わっていく展開にも説得力があります。
 
静子は責められているようでありながら、責めさせているのであり、誠と社長は責めているようでありながら、責めさせられているという見方もできます。外面のSとMの関係が内面では逆転しているという人間心理の奥深さを感じてしまう映画です。
 
★★★★☆(2018年3月20日(火)DVD鑑賞)
 
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