【映画評】続・丹下左膳 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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片目片腕の浪人、丹下左膳が大暴れする時代劇。1953年公開作品。監督はマキノ雅弘で、出演は大河内傳次郎、水戸光子、山本富士子、沢村昌子、三田隆、市川小太夫、田中春男、澤村國太郎。
 
山中貞雄監督の『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』と同じ、大河内傳次郎が演じる丹下左膳でありながら、そのキャラクターは大きく異なります。山中監督版の左膳にあった人情味は、本作には一切ありません。本作で描かれるのは、人を斬りまくる凶暴な左膳です。
 
原作者の林不忘は、山中監督版の左膳を試写で観て気に入らず、本流ではないという意味でタイトルに「餘話」と付けるように言ったそうです。それは、本作の左膳が原作のイメージに忠実であることを表すエピソードです。
 
妖刀の呪いに狂わされる左膳は、『ロード・オブ・ザ・リング』のフロドのようです。その呪いを振り払うべく、「南無妙法蓮華経」を読経しながら敵地に乗り込み、高笑いしてから敵に斬りかかる左膳は、かなりクレイジーでヤバい奴でしかありません。
 
考えてみれば、左膳の片目という設定は半分『座頭市』であり、片腕という設定はジミー・ウォングの『片腕ドラゴン』と共通しています。左膳は、それら異形のダークヒーローの先駆者であり、大河内の顔芸と独特の台詞回しが、その異形性を高めていると言えます。
 
当たり役である左膳を演じる大河内は、本作で大岡越前守も一人二役で演じています。アウトローである左膳と法の番人である大岡を同じ人物が演じるという配役は、チャンバラ娯楽作品でありながら、意味ありげで興味深いのです。
 
★★★☆☆(2018年2月24日(土)DVD鑑賞)
 
世が世ならパラリンピック代表選手になれそうなほど強い左膳です。
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