半年ほど前、我が家の蔵で明治時代の教科書を発見しました。暇があれば、少しずつ読み、一応全て目を通したので、当ブログで不定期に紹介していきます。なお、読み易くするため、地の文は平仮名に統一し、文字化けを防ぐため、漢字は所々新字体に改めます。
それでは、明治二十年発行の『普通讀本四編上』から紹介していきます。
第一課 書體。
一郎は白紙に大字を書けり。汝等一郎の書きたる字を讀み得るや。其字義を辨へ得るや。此書體を何と云ふや。此書體は行書なり。汝等は行書を書き得るや。汝等も一郎の如く、行書を能く書くことを學ぶべし。

二郎も亦一郎と同じ字を書けり。此書體は一郎の書きたるものと同じきか。否、異なれり。此書體を何と云ふや。此書體を草書と云へり。草書と行書とは、日用の書類に多く書くものなり。草書は其初め早書きの便利を考えて、設けし所の書體なり。
三郎も亦同じ字を書けり。此書體は楷書なり。楷書も亦常に多く用ふるものなり。楷書は書籍等に多く用ふる字なり。汝等は此三體の中にて、何を最も好めりや。習字科にて今何を習へりや。石盤を出して、試に此三體の字を書くべし。

【私なりの現代語訳】
一朗は白い紙に大きな字を書いています。皆さんは一郎の書いた字を読むことができますか。その字の意味が分かりますか。この書体を何と言いますか。この書体は行書です。皆さんは行書を書くことができますか。皆さんも一郎みたいに、行書を上手く書くことを学びましょう。
二郎もまた一郎と同じ字を書いています。この書体は一郎の書いたものと同じですか。いいえ、違います。この書体を何と言いますか。この書体を草書と言います。草書と行書とは、日常的な書類に多く書くものです。草書は元々早書きの便利さを考えて、設けられた書体です。
三郎もまた同じ字を書いています。この書体は楷書です。楷書もまた常に多く用いるものです。楷書は書籍等に多く用いる字です。皆さんはこの三つの書体の中で、何が最も好みですか。習字の授業で今何を習っていますか。石盤(ノート)を出して、試しにこの三つの書体の字を書きましょう。
【私の一言】
子供の頃、硬筆習字の塾を途中で辞めたので、大人になった現在も私の書体は楷書のままです。字が滑らかではなく、カクカクしています。
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