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オーディションに落ちて意気消沈していた女優志望のミアは、ピアノの音色に誘われて入ったジャズバーで、ピアニストのセバスチャンと最悪な出会いをする。そして後日、ミアは、あるパーティ会場のプールサイドで不機嫌そうに80年代ポップスを演奏するセバスチャンと再会。初めての会話でぶつかりあう2人だったが、互いの才能と夢に惹かれ合ううちに恋に落ちていく(映画.comより引用)。2017年日本公開作品。監督はデイミアン・チャゼルで、出演はライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ジョン・レジェンド、J・K・シモンズ。
セバスチャン役のライアン・ゴズリングが出演している映画は、『ドライヴ』しか観たことがありません。同作では静かな狂気を帯びた男を演じていました。本作でも音楽にかける情熱に静かな狂気を感じさせるセバスチャンを演じています。
女優志望のミア役を演じるエマ・ストーンは、あのルックスが丁度良いです。美人だったり、グラマーだったりすると、オーディションに落ち続けているというミアの設定に説得力が無くなりますから。まあ、大物映画プロデューサーのセクハラ告発があった今となっては、美人やグラマーだとオーディションに合格できるなんて、良からぬ方向に想像力が働いてしまいますが。
劇中にスマートフォンやYouTubeが登場するので、21世紀現在の時代設定だと分かります。しかし、音楽も衣装もセンスを意図的に古くしています。それは、この物語が特定の時代に限られたものではなく、どの時代にもある普遍的なものであることを表しています。
本作は過去のミュージカル映画に敬意を表して、それらを現代的にアレンジしたシーンを盛り込んでいます。それと似た方向性を有する作品として、白黒サイレント映画へのオマージュで作られた『アーティスト』があります。『アーティスト』は作品自体も白黒サイレントで作られたのに対し、本作は手法において、あくまで今の映画として作られています。現在を生きる観客が共感しやすいからという意図なのでしょうか。私には少し中途半端な印象が残りました。
また、夢を抱いて訪れた若者が挫折するというハリウッドの悪夢は、『マルホランド・ドライブ』の方が残酷に描かれています。「悪夢」を描かせたら、デヴィッド・リンチを超える映画監督がそれほどいないことは承知の上ですが。
あれこれ言っても、本作はミュージカル映画として、そして「夢」を描いた映画として優れています。ラストでミアはセバスチャンとの「別の人生」を夢想しますが、もし「別の人生」のとおり生きていたら、現実の方を羨ましく夢想しているでしょう。叶わない夢ほど美しいものです。多くの若者によって叶わなかった夢が捨て残されながら、叶わない夢を美しい映画にして大衆に供給しているのがハリウッド=ラ・ラ・ランドなのです。
★★★☆☆(2018年1月12日(金)秋田県大館市・御成座で鑑賞)
米国アカデミー賞を取りやすいのは社会派か本作のような映画界の内幕物です。
【おまけ】御成座マスコットうさぎ“てっぴー”のモフモフで夢心地。
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