【映画評】GODZILLA ゴジラ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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突如として出現した怪獣ゴジラが引き起こすパニックと、ゴジラの討伐に挑む人類の姿を壮大なスケールで活写する(Yahoo!映画より引用)。2014年日本公開作品。監督はギャレス・エドワーズで、出演はアーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙、エリザベス・オルセン、ジュリエット・ビノシュ、サリー・ホーキンス、デヴィッド・ストラザーン、ブライアン・クランストン。
 
日本特撮映画の至宝ゴジラ』の米国リメイク版です。国産の『ゴジラ FINAL WARS』に落胆し、先に米国リメイクされた『GODZILLA』のせいで期待もできず、絶望のどん底に沈んでいた日本のゴジラファンにとっては、何とか満足できる作品でしょう。
 
ゴジラの母国である日本も登場します。美術がちょっと変だったり、日本語の台詞が拙かったりしますが、一応日本に敬意を払っています。製作総指揮に『ゴジラ対ヘドラ』を監督した坂野義光の名があるので、おかしな物は作れなかったのでしょう。そうは言っても、渡辺謙の役名「芹沢猪四郎」が、『ゴジラ』で平田明彦が演じた「芹沢」博士と監督の本多「猪四郎」から取ったというのは、日本のゴジラファン以外に通用するのでしょうか。
 
オリジナルへの敬意という点では、ゴジラがきちんと大きいのが嬉しいです。『GOZILLA』では生物学的見地とやらで“デカいイグアナ”が走り回っているだけでしたから、ビルより大きなゴジラが重量感たっぷりに歩く本作は、怪獣特撮映画の何たるかを分かっていますね。
 
ゴジラは単なる巨大生物ではありません。人類の脅威となる“災厄”の象徴なのです(『クローバーフィールド/HAKAISHA』の“何者か”が、9・11同時多発テロの象徴であるのと同じです)。だから、本作のゴジラは口から放射火炎を吐きます。生物学的見地など持ち込んではいけないのです。
 
本作のストーリーに注目すると、これは『ゴジラ』ではなく、平成「ガメラ」三部作に近いような気がします。ゴジラと対決する怪獣ムートーが空を飛ぶのは『ガメラ 大怪獣空中決戦』のギャオスで、電磁パルスで攻撃するのは『ガメラ2 レギオン襲来』のレギオンですからね。ムートーを倒しに来たゴジラが、人類に敵視されて攻撃を受けるのも『ガメラ 大怪獣空中決戦』と同じ展開です(ついでに言えば、上記解説の「突如として出現した怪獣ゴジラが引き起こすパニックと、ゴジラの討伐に挑む人類の姿を壮大なスケールで活写する」は誤りです。突如として出現したのはムートーで、人類が討伐に挑むのは専らムートーに対してですから)。
 
オリジナルの『ゴジラ』では、太平洋上の水爆実験によりゴジラが誕生したという設定に、反核や反戦のメッセージが込められています。本作では、原発事故のシーンが東日本大震災による3・11福島第一原発事故を思わせる点に社会性があります。しかし、人類がゴジラやムートーを倒すために核ミサイルを使用すること、広島で被爆した芹沢博士の父のエピソードが僅かであること(実は大幅カットされたそうです)から、核兵器保有国アメリカゆえの詰めの甘さを感じずにはいられないのです。
 
★★★☆☆(2017年11月20日(月)DVD鑑賞)
 
正しいタイトルは『ゴジラ対ムートー アメリカ大決戦』でしょうな。
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