【映画評】大魔神 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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戦国の世、丹波の国で謀反が起こった。前主を弑した左馬之助は、過酷な労役を領民に課し、さらには村の守り神たる魔神像をも破壊しようとした。だが、額にくいを打ち込んだ途端、突如として山崩れが起こり、作業にあたっていた人足たちは土砂に呑み込まれてしまう。左馬之助は魔神像の破壊をあきらめたが、前主の係累に対する追及はやめなかった。忠文の妹・小笹は、唯一の心の拠り所、魔神像に助けを求めるのだったが……(Yahoo!映画より引用)。1966年公開作品。監督は安田公義で、出演は高田美和、青山良彦、藤巻潤、五味龍太郎、島田竜三、遠藤辰雄、杉山昌三九、伊達三郎。
 
西洋のゴーレム伝説の舞台を戦国時代の日本に移し、時代劇も特撮も楽しめる「一粒で二度美味しい」映画になっています。特撮部分は、ミニチュアセットなどで実物を破壊しているので、近年のCGを用いたVFXにはない、味わい深い感覚があります。
 
村の魔神信仰を伝統や歴史に置き換えると、伝統を破壊する者や歴史を軽視する者は、それによって復讐されるというテーマが見えてきます。これは、義理人情を踏みにじる非道なヤクザが返り討ちに遭う東映の任侠映画にも通じる、日本人好みのストーリーの型です。
 
ところで、本作と似ているのが北朝鮮の怪獣映画『プルガサリ 伝説の大怪獣です。同作は、日本から『ゴジラ』シリーズの特撮スタッフを招聘し、エキストラを人民の「奉仕」により大量動員しているので、見応えのある特撮シーンになっています。圧政を強いる王朝を倒した怪獣プルガサリが、金属を主食とするため、やがて民衆から厄介者扱いされるという展開は、二代目・金正日による初代・金日成批判のようにも解釈でき、興味深いです。
 
最終的に大魔神もプルガサリも若くて可愛い娘によって封印されます。これは日本や北朝鮮の区別なく、ストーリーの王道なのでしょう(『ドラえもん』のジャイアンも、しずかちゃんの言うことは聞きますから)。
 
★★★☆☆(2017年9月7日(木)テレビ鑑賞)
 
特撮映画には時代を超えた面白さがあります。
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