
恩師の死の謎を解くためローマを訪れた若き司祭アレックス(ヒース・レジャー)は、その鍵を握る“罪食い”の男に遭遇。“罪食い”とは、破門された人々の罪を食べ赦免を与える異端の存在。やがて、事件の真相を探るアレックスたちに危険が迫る(Yahoo!映画より引用)。2004年日本公開作品。監督はブライアン・ヘルゲランドで、出演はヒース・レジャー、シャニン・ソサモン、ベノ・ファーマン、マーク・アディ、ピーター・ウェラー。
上掲ポスターに「全米では5回に及ぶ公開延期」という宣伝文句があります。しかし、それは何かいわくつきの理由があるかと思わせながら、実は単に面白くなかったかららしいです(ヒース・レジャーの急逝は、本作撮影後からずっと先のことなので、呪いや祟りの類が原因ではありません)。
ホラー映画なのに怖くないという欠陥商品です。上掲ポスターの不気味な少年少女が物語の鍵を握っていそうですが、出番は少なく、大した役割を果たしません。見かけ倒しです。同ジャンルの『エクソシスト』の方が格段に怖いです。
ブライアン・ヘルゲランド監督の本業は脚本家で、本作でも脚本を手掛けています。それが本作のマイナス要素になっている気がします。映画は脚本上の台詞やト書きをどう効果的に映像表現するかが重要で、そこが上手く出来ていないようです。台詞を長々と語らせるシーンや、会話を長回しで撮るシーンがあり、脚本への偏重が見られるのです。
それでは、脚本の質はどうかと言えば、話の辻褄が合っていなかったり、伏線の回収が不十分だったりと、優れているとは言い難いものがあります。監督と脚本家が別人であれば、脚本の粗を映像でカバーする途があったのですが、本作ではそれができなかったのでしょう。
本作では“罪食い”の「継承」が物語の裏にあります。同じ「継承」を扱った映画には、黒沢清の『CURE』があります。『CURE』については、物語に理解困難というか粗い部分があっても、黒沢独特の不気味な映像表現でそれをカバーしています。本作に必要なのは、それだったと思うのです。
★☆☆☆☆(2017年6月16日(金)DVD鑑賞)
ホラーじゃなければ、「キリスト教蘊蓄映画」というジャンルでしょうかね。