
後藤又兵衛の活躍を描いた時代劇。1945年製作だが1952年公開作品。監督は松田定次で、出演は市川右太衛門、藤野秀夫、中村芳子、月形龍之介、羅門光三郎。
GHQの検閲により上映禁止されていましたが、後に民間情報局教育局による禁止映画再審査によって処分が解除された作品です。「チャンバラ時代劇は戦前の軍国主義に結びつく」というのが理由でしょうね。
後藤又兵衛役は市川右太衛門で、戦前から『旗本退屈男』の早乙女主水之介を当たり役にしてきた名時代劇俳優です。息子である北大路欣也の当たり役は白い犬ですよね(他にもっとあるだろ!)。
本作は大佛次郎の小説が原作で、1964年に勝新太郎主演でリメイクされています。2014年NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』で塚本高史が、2016年NHK大河ドラマ『真田丸』で哀川翔が又兵衛役を演じています。勝新、翔さん、ケンカ武勇伝で知られる塚本が演じたのですから、又兵衛はワイルドな男なのです。
戦後間もない頃の制作現場で、物資等が乏しいはずなのに、贅沢に作られています。しっかりとした殺陣もあり、ユーモアもあり、人情ドラマまである娯楽映画です。又兵衛が黒田節を踊るシーンもあるので、ちょっとしたミュージカル要素もあります。
作り手がどこまで意図したか分かりませんけど、家来を連れて伸び伸びと浪人生活を送る又兵衛の姿に、戦後の解放感が反映されているようにも見えるのです。
★★☆☆☆(2017年6月14日DVD鑑賞)
幼少期の花若役を演じていた澤村マサヒコは、後の津川雅彦です。