【映画評】自殺サークル | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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現代の闇に潜む連鎖自殺の恐怖を描くミステリー(映画.comより引用)。2002年公開作品。監督は園子温で、出演は石橋凌、永瀬正敏、宝生舞、さとう珠緒、野村貴志、ROLLY、嘉門洋子、萩原明、余貴美子、迫英雄、麿赤兒。
 
本作の後日譚が『紀子の食卓』になりますが、私は前後逆に観ました。一応二作品の話は繋がっているようですが、『紀子の食卓』を観たところで本作の謎がすっきり解明されるわけでもなく、モヤッとした感じを鑑賞後も引きずります。
 
詩的な台詞や鮮血が飛び散るグロ描写は、『冷たい熱帯魚』や『恋の罪』の園監督らしいです。本作には架空の少女アイドルグループ「デザート」の歌唱シーンがあり、これは『地獄でなぜ悪い』で二階堂ふみ演じるヤクザの娘が子役時代にCMソングを歌うシーンと同じノリです。後の園監督作品で見られる独特のスタイルが本作において確立されつつあったと言えます。
 
事件に絡む奇人ジェネシスをROLLYが演じており、その登場シーンは突然ミュージックビデオ風の演出になります。前述の「デザート」歌唱シーンと合わせて、本作にはミュージカルの要素もあり、ミステリー、サスペンス、ホラーなど多様なジャンルがミックスされた、どこかクエンティン・タランティーノの『キル・ビル』的ごった煮感覚に近いものがあります。
 
しかし、ミックスされたことにより各ジャンルが突き抜けたものになっていないという欠点が生じています。ミステリーにしては謎が全て解明されず、ホラーにしては怖さが弱いという具合です。インターネットが絡む連鎖自殺の恐怖は、黒沢清の『回路』の方が背筋をゾッとさせます。
 
脚本も書いた園監督は、謎の解明や話の辻褄がどうでもよくなって、作品を豪快にぶん投げたのでしょうかね。ラストの台詞が「勝手に生きろ!」ですから。
 
★★★☆☆(2017年5月26日(金)DVD鑑賞)
 
園子温は『気球クラブ、その後』みたいな良い話も作れますよ(フォローのつもり)。
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