【映画評】自転車吐息 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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憂欝な日々を送る二人の予備校生の心情を描く青春映画(映画.comより引用)。1990年公開作品。監督・主演は園子温で、出演は杉山正弘、河西宏美、山本浩子。
 
初期の『男の花道』や『決戦!女子寮対男子寮』は8mm撮影でしたが、本作から16mm撮影になります。カメラマンも園監督の兼任からプロのカメラマン(北沢弘之)になり、画面に落ち着きが見られます。
 
音声の質も向上し、園監督作品の「怒鳴ったり、喚き散らしたりしているが、何を言っているか分かる」という特徴は、本作から発揮されます。この特徴は、詩人でもある園監督が言葉を重視しているからだと思われます。
 
更に、園監督作品の特徴である「演者を走らせる(歩かせる)」は、本作でも見られます。走るシーンや歩くシーンは、映画に躍動感を与え、生命を吹き込むためのシンプルな手法です。死んだ人は走りません。「走ること」は「生きること」でもあります。
 
本作には、ひっくり返した自転車と映写機のイメージを重ねているシーンがあります。これは「走ること」と「映画を撮ること」を同義とすることです。「走ること」と「生きること」と「映画を撮ること」が重なっているところに、映画監督・園子温の覚悟や姿勢見出すことができるのです
 
☆☆☆(2017年2月13日(月)インターネット配信動画で鑑賞)
 
低予算映画なので、無許可のゲリラ撮影と思われるシーンがあります。
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