【映画評】女学生ゲリラ | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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不良の高校三年生の明子、絹代、時子は、劣等生を冷遇してきた学校への復讐を誓い、卒業式を妨害する計画を立てていた。同級生の誠一と五郎を加えた五人は、三年生全員の成績表と卒業証書を盗み出した後、色仕掛けで自衛隊員から奪った武器を持って、山岳地帯のアジトに立てこもるのだったが…(Yahoo!映画より引用)。1969年公開の成人映画。監督は足立正生で、出演は芦川絵理、花村亜流芽、万屋真理、新田等々、福間健二、平岡正明、谷川俊之。
 
足立正生は、1971年に若松孝二と『赤軍派-PFLP 世界戦争宣言』の撮影でパレスチナに渡り、その思想に共鳴したことから、1974年に日本赤軍入りしました。「ミイラ取りがミイラになる」ならぬ「ゲリラ撮りがゲリラになる」という珍しい人生です。現在は日本で映画監督業に復帰しています。
 
本作のプロデューサーである若松は、自身の監督作『処女ゲバゲバ』(タイトルの命名者は大島渚)と本作を同時進行で撮影しました。それゆえ、両作品はロケ地と出演者がほぼ同じで、かなり低予算で作られています。映画の内容だけでなく、作り手もゲリラ的であるということです(本作のロケ地は富士山の麓辺りで、若松は後の『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』も同地で撮影しています)。
 
冒頭からジャズ風にアレンジした「君が代」が流れます。ガチガチの愛国右翼は怒るでしょうが、元々「君が代」のメロディーに西洋音楽のアレンジが施されているので、意外と聴き心地が良いです。思い出せば、忌野清志郎のパンクロック調「君が代」もありましたね。本当に国歌への親しみを持たせたいならば、「君が代」の可能性を狭めるような硬直した思考はマイナスにしかなりません。
 
まあ、国歌「君が代」だけでなく、国旗「日の丸」もイジっている映画なので、本作の作り手に国歌や国旗への親しみという感情は皆無でしょうけど。
 
本作は成人映画(ピンク映画)ですが、半世紀近くも前の成人指定(R-18)なので、現代における性表現の基準では「なぜ?」という疑問が生じます。それでも「青少年の犯罪を助長する」内容ではあるので、現代でもR-15またはPG-12は付くかもしれません。
 
反体制的な若者たちが武装して山岳地帯に立てこもるという内容は、1972年の連合赤軍あさま山荘事件を予見していたかのようです。むしろ連合赤軍の若者が本作に影響されたのかもしれません。本作では、山岳ゲリラ生活に疲れた若者たちが内ゲバを起こしても、再起して新たな闘争を求めて旅立つという結末で終わります。しかし、現実の連合赤軍は映画と異なり、残酷で悲惨な結末に終わったのでした。
 
★★★☆☆(2017年2月7日(火)DVD鑑賞)
 
若松孝二は『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』で自身の「見解」を表しています。
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