【映画評】蝋人形の館 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

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大学生のカーリーら6人の若者は、ドライブの途中で立ち寄った町の蝋人形館に足を踏み入れるが……(映画.comより引用)。2005年日本公開作品。監督はジャウム・コレット=セラで、出演はエリシャ・カスバート、チャド・マイケル・マーレイ、ブライアン・ヴァン・ホルト、パリス・ヒルトン、ジャレッド・パダレッキ。
 
相撲好きの悪魔の代表曲のような邦題のホラー映画です。1953年製作の『肉の蝋人形』のリメイクですが、浮かれた若者が田舎の気狂い殺人鬼に襲われる恐怖を描く点では、『悪魔のいけにえ』や『13日の金曜日』の影響も感じられます。
 
ホラー映画で手始めに殺されるのは、セックスのことしか頭にないようなマッチョまたはビッチであるのが常道です。しかし、本作で最初に殺人鬼の餌食になるのは、パリス・ヒルトンではありません。変です。基本ルールに忠実に、脳内はエロいことだけのパリスを先に殺して、非リア充な観客の溜飲を下げるべきです(後でエグい殺され方をされますけどね)。
 
殺人鬼は生きた人間を蝋人形にするド変態です。一応、自称芸術家であり、精巧な蝋人形を制作します。生きた人間だけでなく、自ら殺した人間も蝋人形にします。しかし、そこで気になるのは、殺人鬼が死体を損壊するような方法で殺すことです。観客にとってはショッキングですが、殺人鬼なりの芸術へのこだわりはどこへ行ったのかと気になります。
 
実のところ、殺人鬼には悪魔のシスター』や『バスケット・ケース』のような悲しい過去があります。そして、ラストで更なる秘密まで明かされます。ただ、続編の布石か分かりませんが、その秘密は必要なのかという謎は残ります。
 
じっくり観ると穴だらけの映画です。それでも『悪魔のいけにえ』と同じ「アメリカの田舎の怖さ」は描かれており、それは時代を超えた感覚なのでしょう。広大なアメリカでは、時代の変化から隔絶され、独自の価値観で生活する人たちがいても不思議ではありません(本作の田舎町は時代も住民も止まったままです)。そして、トランプ大統領および共和党の主な支持基盤が、そのような「アメリカの田舎」の人たちであることは、映画を超えたリアルな恐怖を生む可能性があるのです。
 
★★☆☆☆(2017年1月26日(木)DVD鑑賞)
 
遺品のデジカメで撮影された映像(パリスの最期)を見た兄妹は、さぞかしビックリすることでしょう。
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