松方弘樹さん死去 | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

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松方弘樹さん死去 74歳 脳リンパ腫、「仁義なき戦い」「柳生一族の陰謀」

 
俳優の松方弘樹(まつかた・ひろき、本名目黒浩樹=めぐろ・こうじゅ)さんが21日、脳リンパ腫のため死去した。74歳だった。東京都出身。昨年2月に体調不良を訴えて入院していた。東映の時代劇ややくざ映画を中心に活躍したスター俳優だった。
 
趣味の釣りで300キロ以上の巨大マグロを釣り上げるなど豪快なイメージで知られた松方さんだが、病魔には勝てなかった。回復を願ったファンや関係者の祈りも通じなかった。
 
所属する「夢グループ」が松方さんに脳腫瘍の可能性があることを報道各社に明かしたのは昨年2月23日。長期療養が必要となるため、出演予定だった同3月1日から6月8日までの「夢コンサート」を降板し、6月からの舞台「遠山の金さんと女ねずみ」を中止すると発表。その後、病名を「脳リンパ腫」と公表していた。懸命な闘病が続いたが、抗がん剤投与の治療中にたびたび脳梗塞を起こし、今年に入って一進一退の状況を続けた。
 
松方さんは時代劇スター近衛十四郎さんと女優の水川八重子さんの間に長男として誕生。俳優の目黒祐樹(69)は弟だ。歌手志望だったが、明大中野高3年の1960年に東映入りし、同年「十七歳の逆襲・暴力をぶっ潰せ」でいきなりの主演デビュー。その後、スターへの階段を駆け上がり、「昭和残侠伝」シリーズといった任侠映画から「仁義なき戦い」シリーズなどの実録路線、さらに「柳生一族の陰謀」を初めとする大型時代劇で活躍した。その一方、日本テレビ系「天才・たけしの元気が出るテレビ」の笑い上戸キャラで人気を呼び、多くのバラエティー番組でも異彩を放った。
 
元妻の女優仁科亜季子(63)との間に、タレントの仁科克基(34)と仁科仁美(32)をもうけた。
 
 
私が観た映画の中で最も若い松方さんの姿は、『赤穂浪士』の大石主税役です。まだ10代の松方さんは、後にヤクザ映画のスターになったとは思えないほど若々しい少年の姿でした。
 
松方さんが入ってからの東映は、片岡千恵蔵や中村(萬屋)錦之助の時代劇から、鶴田浩二や高倉健の任侠映画への路線を走っていました。彼ら先輩スター俳優が主役で、松方さんはその弟分を演じることが多かったようです。やがて任侠映画が下火になり、『仁義なき戦い』を代表とする実録ヤクザ映画路線になると、松方さんと同世代の梅宮辰夫、千葉真一、山城新伍、北大路欣也、渡瀬恒彦らが第一線に躍り出ました。それまで二番手や三番手にいたことで鬱積していた感情を爆発させ、ギラギラした熱さをスクリーンから観客に発していました。
 
菅原文太さんが亡くなった時、代表作である『仁義なき戦い』が地上波放送されなかったように、松方さんの追悼企画として同作が地上波放送されることはないでしょう(CSの東映チャンネルならありそうです)。松方さんは『仁義なき戦い』の深作欣二監督より、中島貞夫監督と組んだ時の方が、相性が良かったと思われます。『893愚連隊』、『脱獄広島殺人囚』、『暴動島根刑務所』、『実録外伝 大阪電撃作戦』、『沖縄やくざ戦争』は松方さんの魅力を堪能できますが、今時のコンプライアンスとやらで地上波放送は難しいでしょう。
 
日本映画の斜陽化で映画の製作本数が減少すると、松方さんはオリジナルビデオ、いわゆるVシネマ規模のヤクザ映画や時代劇を中心に活動することになります。それでも、全国公開規模の作品に出演してきました。私がスクリーンに映る松方さんの姿を直近で観たのは、リメイク版『十三人の刺客』でした。暴君暗殺の使命を受けた十三人の侍役の中で、時代劇黄金時代を経験しているのは松方さんだけです。その無双ぶりは、松方さん一人で敵軍を壊滅できるのではないかと思わせるほどでした(あ、『十三人の刺客』の後、実写版『忍たま乱太郎』で稗田八方斎役を特殊メイクで演じた松方さんが直近でした。忘れていました)。
 
日本映画界(と言うか東映)が時代の荒波に揉まれる中、時代劇にも現代劇(ヤクザ映画)にも対応できた松方さんは、カジキマグロのように力強く泳ぎ切ったスター俳優だったと思います。
 
ご冥福をお祈ります。
 
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