
CIAやKGBをはじめとする各国の元エリート諜報部員が結成した無国籍スパイ組織「シンジケート」の暗躍により、イーサン・ハントの所属するIMFはまたも解体の危機に陥る。組織の後ろ盾を失いながらも、イーサンは仲間とともに世界の危機を救うため史上最難関のミッションに挑む(映画.comより引用)。2015年日本公開作品。監督はクリストファー・マッカリーで、出演はトム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ヴィング・レイムス、ショーン・ハリス、アレック・ボールドウィン。
トム・クルーズ主演のスパイ・アクション映画シリーズの第5作です。上の画像や予告編で見せている「飛行機ぶら下がり」がメインではなく、冒頭の“つかみ”であることに驚きます。正に「つかみはOK!」です(ちなみにダチョウ倶楽部の寺門ジモンはクルーズと同じ年齢です)。
相変わらず無茶なミッションを課せられるイーサン・ハント(クルーズ)です。モロッコでハントとベンジー(サイモン・ペッグ)のおじさん二人とイルサ(レベッカ・ファーガソン)の美女一人の組み合わせになると、どこか『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』にも見えてきます(ハント=太川陽介、ベンジー=蛭子能収、イルサ=マドンナ役の女優)。その後、ブラント(ジェレミー・レナー)とルーサー(ヴィング・レイムス)も合流し、おじさん仲良しチームでミッションに挑むことになります。
五十歳過ぎのクルーズが危険なアクションに挑戦しています(体を張るのもダチョウ倶楽部との共通点です)。スタントなしの本人によるアクションをやりたいがために、クルーズ自身がプロデューサーも兼任するほど、こだわりがあります。以前から思っていますが、ジャッキー・チェンの後継者はクルーズです。本作で囚われたハントが上半身裸の格好で格闘し、脱出する流れはカンフー映画のようでもあります。
街中でのカー・アクションや『M:I-2』よりパワーアップしたバイク・アクションも見せます。これらは先に出演した『アウトロー』で、クリストファー・マッカリー監督に迫力あるカー・アクションを演出する特性があることを見出し、本作でも起用したクルーズのプロデューサー感覚のおかげです。
お決まりのテーマ曲があり、世界中を舞台にするスパイ・アクション映画という点で、本シリーズは『007』シリーズと共通しています。思うに、アメリカ人のクルーズはジェームズ・ボンドになれないから、DIY精神で自分なりに作ったのが本シリーズではないでしょうか。本作の最終決戦地がイギリスのロンドンであることは、本家へのリスペクトと対抗意識を感じさせます。
自分なりに作った『007』という意味では、かつて『007』を監督したいと申し出たのに断られた、スティーヴン・スピルバーグが監督した『インディ・ジョーンズ』シリーズと同じです。『マイノリティ・リポート』と『宇宙戦争』で組んだクルーズとスピルバーグが友人関係にあるのは、『007』愛で意気投合したからかもしれません(妄想)。
大掛かりで息を付かせぬアクション娯楽作でありながら、社会性も盛り込まれています。ハントの所属するIMFと敵のスパイ組織「シンジケート」はローグ(ならず者)呼ばわりされます。それなら、目的遂行のためなら多数の人々の命を奪い、部下をも平気で切り捨てるCIAやMI6はローグ(ならず者)ではないのかという問いが投げかけられるのです。単なる軽薄な娯楽作品にしないところも、クルーズのプロデューサー感覚でしょうか。
★★★★☆(2017年1月17日(火)DVD鑑賞)
アレック・ボールドウィンのおじさん感。休日の趣味にゴルフが似合いそうです。