明治維新の映画支援検討、政府
政府は、1868年の明治維新から150年の節目となる2018年に実施する記念事業として、明治期の国造りなどを題材とした映画やテレビ番組の制作を支援する検討に入った。柔道や相撲の大会を開催する案もある。政府関係者が7日、明らかにした。各府省庁が事業の具体化を本格化させ、夏までに大枠をまとめる。
明治維新150年について政府は「大きな節目で、明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは重要だ」(菅義偉官房長官)として内閣官房に準備室を設置した。
転載元:ロイター(共同通信)
【ここから私の意見】
記事を読み、最初に思ったことは「他にカネ(税金)使うところあるだろ!?」ですが、それを言っては話が進まないので、とりあえず置いておきます。
申請主義である文化庁の助成金制度と異なり、政府が企画段階から積極的に口出しする事業のようです。すなわち「国策映画」ですな。
「1868年の明治維新から150年の節目となる2018年に実施する記念事業」ということは、2018年内に公開しないと意味がありません。今年(2017年)の夏までに事業の大枠をまとめ、そこから製作スタートだと、準備期間が短すぎませんか。せいぜいテレビの再現VTRレベルのクオリティに仕上げるのが精一杯で、一般客がわざわざ自腹で観に行きたいものにはならないでしょう(日本会議など自民党の支援団体が組織動員するので、興行成績はそれなりに格好をつける形になります)。
ちなみに2018年のNHK大河ドラマが「西郷どん」で、薩摩藩が中心になるので、政府主導の明治維新映画は、安倍首相のお膝元である長州藩が大活躍するストーリーになるはずです。
製作期間や製作費を考慮すれば、実写映画にこだわることなく、アニメ映画にするかもしれません。昨年は『君の名は。』や『この世界の片隅に』がヒットしたからという安易で陳腐な発想ですが。ただし、新海誠も片渕須直も作品へのこだわりが強い故に成功したタイプなので、やっつけ仕事を安請け合いすることはなさそうです(スタジオジブリ系のアニメーターも絶対に引き受けないでしょう)。まあ、大川隆法が製作総指揮の幸福の科学宣伝アニメ映画を作るアニメーターがいるので、そこに製作させるという手もあります。
ところで、クエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』という映画があります。ナチスに家族を虐殺された女の復讐劇です。本作では、歴史的事実に思い切り反する復讐が執行されます。タランティーノにとって映画は自由な世界で、他に代え難い最愛のジャンルです。それ故、映画を政治の道具として従属させようとする糞野郎どもは、映画の中でブチ殺すという強烈な映画愛が、本作で表明されているのです。
タランティーノほどでなくても、熱烈な映画ファンにも同様の映画愛があることを政府が軽視すれば、後に壮絶な復讐があるかもしれませんよ。