
バーモントの田舎町を舞台に、一人の死体をめぐって起こる騒動をスラップスティック調に描いたコミカルなスリラー。ハリーという男の死体が発見された。妻は自分が殴ったために死んだと思い、死体を隠そうとする。だが、彼を殺したと主張する人物は他にも存在していた。彼らは誰が真犯人が知らぬまま、ハリーの死体を担いで犯罪を隠蔽しようとするが……(Yahoo!映画より引用)。1956年日本公開作品。監督はアルフレッド・ヒッチコックで、出演はエドマンド・グエン、ジョン・フォーサイス、シャーリー・マクレーン、ミルドレッド・ナトウィック。
本作がデビュー作となるシャーリー・マクレーンが可愛いです。元はダンサーだからなのか、表情や身振りなど身体表現が豊かです。マクレーンは親日家で、娘に「サチコ」と命名したほどです。年とともに外見が小森のおばちゃま(小森和子)に似てきたり、神秘体験を語った著書を出すという“霊界の宣伝マン”丹波哲郎みたいな芸風になったりするのも、日本が大好きだからかもしれません。
アルフレッド・ヒッチコック監督は、お得意のサスペンス演出でストーリーを二転三転させ、観客をハラハラさせます。「閉まりの悪いクローゼット」の伏線は見事です。
ハリーはいきなり死体として登場し、直接的な殺害シーンは描かれません。誰も殺されないコメディ映画『スミス夫妻』において、サスペンス演出を応用し、夫婦喧嘩の顛末から観客の目を離せなくさせたヒッチコック監督ですから、本作の殺害シーンは要らなかったのでしょう。
ただ気になったのは、人が死んでいるにもかかわらず、登場人物の動揺が少ないことです。死体を発見した時、人はもっと驚くでしょう。死体の運搬処理も淡々と行っており、死体の扱いが雑です。コメディ寄りの作品とは言え、そこはリアリティを欠いているような気がするのです。
★★★☆☆(2016年12月10日(土)DVD鑑賞)
張本勲の発言がネットで叩かれるのも「ハリーの災難」と言えます。