【映画評】ハスラー | じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

じゃんご ~許されざるおっさんの戯言ブログ~

このブログは、田舎で暮らすおっさんの独り言を日々書き綴っています。ブログタイトルの「じゃんご」とは秋田弁で「田舎」のことで、偶然にもマカロニウエスタンの主人公の名前でもあります。何となく付けてみました。お時間があれば、広い心で御覧になってください。

イメージ 1
 
賭けビリヤードのプロ、エディは、ミネソタ・ファッツと呼ばれる男に勝負をいどんだ。優勢に進んでいた試合も、エディが油断して酒を飲んだとたん逆転してしまう。その勝負で全ての財産を失ったエディは、次第に生活がすさんでいく。だが、愛する女性に自殺されたとき、彼は再びファッツに挑むのだった……。ひとりのハスラーを主人公に、人生の挫折と苦渋を描いたヒューマンドラマ(Yahoo!映画より引用)。1962年日本公開作品。監督はロバート・ロッセンで、出演はポール・ニューマン、ジャッキー・グリーソン、パイパー・ローリー、ジョージ・C・スコット。
 
ハスラーは洋物のエロ本……ではなくて、相手を引きつけておいて徹底的に稼ぐギャンブラーのことだそうです(映画.comより引用)。そんな勝負師たちの世界に生きる主人公エディをポール・ニューマンが演じます。『明日に向って撃て!』や『スティング』では、若いロバート・レッドフォードに対する年長者というポジションでしたが、本作ではニューマンが若い挑戦者のポジションにいます
 
エディは、ミネソタ・ファッツ(ジャッキー・グリーソン)との40時間近くに及ぶ試合に敗れたことで挫折を味わいます。試合後のエディの疲労感は、徹夜で麻雀や桃鉄をやった経験がある人ならば、理解できるでしょう。どん底状態のエディは、サラ(パイパー・ローリー)と知り合い、共同生活を始めますが、エディが再び勝負の世界に深入りすることで、サラが不幸な結末を迎えてしまいます
 
このエディの姿から、実在した伝説の棋士、坂田三吉を描いた『王将』を思い出します。勝負のために恋人や家族を犠牲にしてしまう両者の姿勢から、勝負という非日常の世界に生きるが故に、平和な日常生活を営むことができないという、勝負師の悲しい宿命を感じます。
 
それは、エディが挑むファッツの態度によく表れています。ファッツは勝負に勝っても負けても、喜怒哀楽の感情を表に出しません。ただ事務的に作業を終えたという印象を残します。勝負の世界にどっぷりとハマった者は、人間らしさを喪失するという非情が強調されているのです(というより、非情にならなければ、勝てないということでしょう)。
 
★★★☆☆(2016年11月19日(土)DVD鑑賞)
 
「わいはシカゴ一になったるんや! 酒買うて来い!」とは言いません(「浪花恋しぐれ」?)。
イベントバナー

 

にほんブログ村 映画評論・レビューに参加しています(よろしければクリックを!)