
1880年代のテキサス、移民と在来地主との争いは絶えず、判事でなおかつ牧場主でもあったロイ・ビーンは強引なやり口で新興農民を退けようとし、仕返しに危うくリンチされかかる所を、流れ者のコールの仲裁で助けられた。お蔭でその年は豊作となったが、感謝祭の日、判事は焼き打をかけ、怒ったコールは、副保安官となって判事と対決する(Yahoo!映画より引用)。1940年製作のアメリカ映画で1951年日本公開作品。監督はウィリアム・ワイラーで、出演はゲイリー・クーパー、ウォルター・ブレナン、ドリス・ダヴェンポート、フレッド・ストーン。
ゲイリー・クーパーが演じる流れ者コールは、危機に直面した時、即座に暴力で解決するのではなく、知略(嘘やハッタリ)を用いて解決します。大金を持たず、仲間もいない流れ者らしい生き方です。
実在の人物であるロイ・ビーン(ウォルター・ブレナン)は、コールとは対照的に大金も仲間もいる暴君です(ビーンも元々は流れ者でしたが)。しかし、旅回りの女優リリーに惚れ込んでいるという弱点があり、そこをコールに利用されてしまいます。このキャラクター設定が、本作を人間味あるドラマにしています。
半世紀以上も前に作られた映画ですが、現代のアメリカにも通じるものが描かれています。劇中で語られる南北戦争は、現代アメリカ政治における共和党と民主党の対立にまで繋がっています。先日のアメリカ大統領選挙は、そうした歴史的背景を勉強すると、ちょっと深みのある見方ができます。
また、在来地主と移民の対立や牛追いと農民の対立は、ドナルド・トランプ新大統領の移民政策やTPP問題とも重なって見えます。そうなると、西部劇はアメリカ人の心の故郷であるどころか、アメリカそのものではないかとまで思えてくるのです。
★★★☆☆(2016年11月1日(火)DVD鑑賞)
実際のロイ・ビーンは、本作より凶悪な人物だったそうです。