
ラス・ベガスを舞台に3人の男と3人の女の恋と別離を描くミュージカル・ロマンス映画(映画.comより引用)。1982年日本公開作品。監督はフランシス・フォード・コッポラで、出演はフレデリック・フォレスト、テリー・ガー、ラウル・ジュリア、ナスターシャ・キンスキー、レニー・カザン、ハリー・ディーン・スタントン。
『ゴッドファーザー』や『地獄の黙示録』のコッポラが大コケした作品として知られています。何しろ本作撮影で使用した自前のスタジオを売却するほどの大コケです。コッポラは『地獄の黙示録』でも多額の製作費をかけており、借金を売りものにする大川興業の大川豊総裁と芸風が重なっていると言えます。
その借金返済のため売却することになるスタジオで、本作は全編撮影されています。劇中のラスベガスの街角もスタジオ内のセットです。クラシックなハリウッド映画だと珍しくありませんが、1980年代だと屋外ロケなしの映画は少ないでしょう。今だと背景をCG合成できるので、ほぼ全編スタジオ撮影の作品もありますけど(『シン・シティ』などがそうです)。
スタジオ撮影中心で作られた近年の日本映画には、三谷幸喜監督の『THE 有頂天ホテル』や『ザ・マジックアワー』が挙げられます。三谷が演劇出身であるため、屋内セットの方がやりやすいという理由です。そしてミュージカル映画である本作も、舞台演劇向きの内容だから、全編スタジオ撮影という方法を選んだということでしょう(『地獄の黙示録』撮影時に天候でスケジュールが狂わされたことの反動という理由もあります)。
それでは、本作の出来はどうかというと、中途半端としか評価できません。ミュージカル映画にしては突き抜けたテンションの高さがなく、リアリティ(現実)と作り物(虚構)の宙ぶらりん状態にあるという印象が残りました。どうせ作り物のセットにいるのだから、やることも作り事に徹すればいいのに。
★☆☆☆☆(2016年9月1日(木)DVD鑑賞)
登場人物以外の人(トム・ウェイツ)が主に歌うのもミュージカル映画らしくありません。