
泥棒家業を続ける青年トムと成り行きで結婚してしまったジョイ。産まれたばかりの赤ん坊にも無関心で、暴力までふるう夫に対し、彼女は嫌気がさしていた。そんなある日、トムはついに逮捕され、ジョイは叔母の家に居候させてもらうことになる。そこに訪ねてきた夫の仲間デイブ。彼女は優しいデイブに惹かれ、一緒に暮らし始めるが、彼もまた強盗事件で逮捕されてしまい……(映画.comより引用)。1968年日本公開作品。監督はケン・ローチで、出演はキャロル・ホワイト、テレンス・スタンプ、ジョン・ビンドン。
ケン・ローチ監督の劇場映画デビュー作です。ケン・ローチは、主にイギリスの労働者階級の生活を題材とする、自他ともに認める左翼です。日本のネトウヨみたいな奴が「こいつは左翼だ!」とレッテル貼りしても、「左翼ですが何か問題でも?」と、あっさり切り返すでしょう。
特に誇張した演出をせず、淡々とイギリス庶民の生活を描写します。日本の是枝裕和作品に近いものがあります。
主人公ジョイ(ホワイト)は、付き合った男が二人ともロクデナシで、泥棒で逮捕されて刑務所入りするという、強烈な男運の無さを発揮します。残された息子ジョニーを女手一つで育てなければならず、ヌードモデルにまで手を染めます。シングルマザーが生きにくいのは、当時のイギリスでも現代の日本でも同じです。当時のイギリスがネット社会であれば、ジョイはブログに「イギリス死ね」と書き込んだでしょう。
それでもジョイが生きる希望を持ち続けたのは、愛する息子ジョニーがいるからです。ジョニーは、ジョイにとって邦題にある「夜空の星」なのです。ジョニーはフルチンでアパートをウロウロし、ジョイの外出用ウィッグを勝手に洗濯するイタズラ坊主ですが、それでもジョイにとって希望の源なのです。
★★★☆☆(2016年8月26日(金)DVD鑑賞)
劇中のパブにいる客が、本当に素人ではないかと思えるほど自然に振る舞います。