
宝石“ファラオの星”をめぐって、甲賀忍法を駆使する男とマフィアとの争奪戦を描くアクション映画(映画.comより引用)。1974年公開作品。監督は石井輝男で、出演は千葉真一、志穂美悦子、中島ゆたか、佐藤充、山城新伍、郷鍈治、室田日出男、安岡力也、嵐寛寿郎、丹波哲郎、池部良。
空手映画『直撃!地獄拳』の続編ですが、前作を必見しなければならないということはありません。冒頭で簡単に説明されますし、そもそも設定やストーリーの繋がりを気にするような代物ではないからです。
簡単に言えば、偏差値の低い『ミッション:インポッシブル』です。不思議なことに、本作と『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』には共通点があります。①両作ともオープニングタイトルに本編中の見せ場を入れていること、②主人公が壁または天井に張り付くシーンがあること、③『ゴースト・プロトコル』は冒頭で、本作はラストで主人公が刑務所入りしていることです。トム・クルーズよ、パクったな?
前作にもギャグはありましたが、一応空手アクションがメインでした。しかし、本作はギャグがメインで、空手や忍法によるアクションが申し訳程度に入っているだけです。しかも、そのギャグは小学生男子のツボに入るような下ネタ(フケ、鼻水、鼻クソ、ウンコ、オシッコ、チンチンなどを用いたもの)です。それを千葉真一らが真面目にやるから面白くなります。
今だったら香椎由宇似の中島ゆたかも、面白いことをやらされ、パンチラまで披露します。異常性愛路線で女優への激しい責めを演出した石井輝男監督なので、本作でも情け容赦がありません。
その石井監督らしく、終盤は千葉が空手アクションで悪党を皆殺し(飛び出す目玉! 一回転する首!)にして、事件解決という強引極まりない幕引きを図ります。そこでは、突然志穂美悦子がチャイナ服で格闘し、丹波哲郎が秘密の正体を明かすという口をポカンと開けるしかないサプライズもあります。そしてボーナストラックと言うべき『網走番外地』のセルフパロディまでぶち込んできます。あまりにも自由な展開です。
調べてみると、前作のヒットにより続編も任された石井監督が、空手映画は撮りたくないので、滅茶苦茶な映画にすれば二度とオファーは来ないと思い、本作のような仕上がりになったそうです。出演者もアイデアを出してノリノリの現場だったという話もあります。結果的に、現代の日本映画界では作ることのできない奇跡の一作になったと思います。
★★★★★(2016年6月22日(水)DVD鑑賞)
作戦会議で精巧な模型を作る暇があったら、さっさと盗りに行かんかい!とツッコミを入れられます。