
A銀行丸の内支店の店長代理である江田をリーダーとする三人のパーティーが鹿島槍で遭難し、浦橋は一命を取り留めたものの、岩瀬が命を失ってしまう。岩瀬の姉の真佐子は、初心者の浦橋が生き残り経験者の弟が亡くなったことに疑問を抱く。真佐子は江田を夕食に招き、従兄の槙田二郎を遭難現場まで案内してほしいと頼んだ。山岳のエキスパートである二郎は、江田と鹿島槍を目指して進みながら、事故の疑問点を次々に語り始めた。そしてこの事故が、実は人為的に引き起こされた殺人事件だと断定するのだった(Yahoo!映画より引用)。1961年公開作品。監督は杉江敏男で、出演は伊藤久哉、土屋嘉男、児玉清、和田孝、香川京子。
松本清張の小説が原作の映画です。『砂の器』がヒットした1970年代以降と比べ、清張がまだ巨匠ではなく、一流行作家として扱われているような気がします。上映時間やキャスティングを見ても、大作という感じはありませんから。
そのキャスティングは、土屋、児玉、香川という顔ぶれに東宝らしさを感じます。黒澤明作品の出演者ですからね。
脚本は石井輝男です。新東宝から東映に移籍する間の時期に書かれた脚本かと思われます。東映移籍後に間もなく、石井は同じ清張原作の『黄色い風土』を監督しています。当時、石井にとって清張がマイブームだったのでしょうか。
ストーリーはテンポ良く展開していきます。そこは石井の脚本家としての実力発揮です。しかし、原作と異なるラストだそうですが、ラストのまとめ方に強引さというか、やっつけ感が漂っています。そこも含めて石井らしいのですが(『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』のラストも強引です)。
★★☆☆☆(2016年6月7日(火)DVD鑑賞)
松本清張は略して「マツキヨ」?